効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

スペインの太陽光発電

スペインの太陽光発電の設置量は、設置者に極めて有利なフィードインタリフが設定されていた一昨年までの2年間に急増した。ところが、そのフィードインタリフの支払いが政府の財政状況を悪化させるとして、一昨年大幅にカットされた。そのため2010年の太陽光発電設置量は急減したといわれる。特に減ったのは地上設置の大型のもの。買い取り価格の減少が大型のものに大きかったからだ。しかし、一昨年までのブームの時に設置された太陽光発電はスペインの豊かな太陽光の下で着実な発電を継続し、2010年には全電力供給量の3%を占めるまでになっている。すでに設置済みの設備については、設置者に利益を生み続けるようになっているから、少なくとも10年以上は撤去されることはないはず。これから原油価格が高騰したとすれば、あるいは発電用石炭価格が上がるとしたら、フィードインタリフの負担は相対的に小さくなるはず。スペインのフィードインタリフ風力発電にも同じような適用がされたので、風力発電の設置量も一昨年まで急増した。それが太陽と同様にフィードインタリフが引き下げられたために、2010年の設置量は減ったはず。しかし、その前に設置されたものが発電する量は、スペインの水力と石炭火力発電よりも大きくなっている。
これを数字で拾ってみると、2010年の太陽光発電が全体の発電量に占める比率は2.7%、風力は16.4%。これを合わせると19%を少し超えている。既存の水力発電は14.6%だから、新旧の再生可能エネルギーで34%となっている。スペインの気候や人口構成はカリフォルニア州とよく似ている。スペインの人口は4,600万人で260TWhの電力を消費。カリフォルニアは3,700万人で年間300TWhを消費。ところが、カリフォルニアが風力と太陽光発電が生み出す電力は、同州の年間発電量の2%に過ぎない。
後発のスペインが再生可能エネルギーによる発電を増やしたのは、いろいろ問題視されたフィードインタリフによる優遇策のお陰であることは確かだ。これから化石燃料価格が上がれば、このフィードインタリフが救いの神だったと言われるかもしれない。