効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

超電導

朝から一日NEDO(新エネルギー産業技術開発機構)が開いた、「超電導応用技術ワークショップ」を聴講していた。NEDOの事務所がある川崎駅が、工事中のために以前とかなり通路などが変わっているので会場を見つけるのにうろうろ。駅の警備の人に聞いたらいろいろ地図を調べてくれたが不明。交番の場所を教えてくれたのでそちらへ行く途中に目的のビルがあった。親切な警備の人は地元の人ではなかったのだ。会合には200人くらい集まっていたのだろうか。もう少し場所がわからなければ補助椅子で一日を過ごさなくてはならないところだった。
超低温にすると抵抗がゼロになる金属を使って電線にすると、送電ロスはほとんどなくなる。絶対温度ゼロに近い液体ヘリウムを使ったものと、絶対温度70度ほどの液体窒素を使うものがあるが、液体窒素を使った超電導は高温超電導と言われるのはここでも何度か述べたとおり。今日は両方が紹介されたが、スマートグリッドへの応用も語られたのには少し驚いた。送配電、電力の消費の効率化がスマートグリッドの重要な目的だとすればその通りだなと、あらためて思った。
いろいろなアプリケーションが話されたが、送配電系統への利用というもっとも考えやすいものについても、既存の系統技術とは異なるところがあって、まだ本格的に商品化されたとはいえないことを教えられた。だからこそNEDOが推進しているのだ。変電所の変圧器、船舶用モーターについては聞いたことがあったが、風力発電の発電機に応用すると、小型化して軽く、しかも効率が上がるために、一基あたりの発電能力を大きく上げることができるのだと知った。しかし、これから洋上風力にも応用するとすれば、メンテナンスの必要性が少ないものでないと扱いが難しいだろう。日本の電車には直流で動いているものが多い。しかし、架線に直流を供給すると、変電所の数が交流で供給するより多くなるのだが、超電導電線で供給するとその数を大幅に少なくできるそうだ。ただ、超電導の電線を通常の温度である架線へ接続するところの対応が難しいと知った。超電導状態が破れないようにしなければならないことを考えればなるほどとうなずける。医療に使うMRIや電子ビーム放射設備の性能向上に超電導を使うのも紹介された。後者の場合、設備が小型化すると同時に、磁力が強くなるので目的のところを照射でき、癌の治療効果が大きく上がるという。面白い応用があった。汚染された土壌を浄化するのに、鉄粉を大量に入れた泥を圧入し、そこを通る地下水を鉄で浄化し、後からその泥を抜き出す工法がある。その鉄粉が高価なために、地下から再度取り出した時に強い磁石で鉄粉を引っ張り出す工法に超電導を使った磁石を使ったら回収率が飛躍的に上がったそうだ。
ぼんやりとしか理解していなかった超電導を少しは事例も含めて勉強できた。気になったのは、これまで日本がこの面での技術開発で先頭をきっていたのが、台湾や中国に追いつかれているということだ。