効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

薬師寺東塔

今日の奈良新聞一面トップに、薬師寺東塔の柱を支える礎石が最大22センチ沈下していることが分かったと報じられている。この東塔は間もなく解体修理されることになっていて、そのための調査で分かったことだ。これは高さ34メートルの三重塔で、重量の大部分を12本の側柱(がわばしら)で支える構造になっている。奈良県教育委員会によると、総重量は約400トンで、側柱一本当たり約30トンを支える計算になる。側柱の沈下は南西隅が18センチで最も大きいが、北西隅の礎石が新しく見えるため、県教委が明治時代の修理記録を調べたところ、沈下した礎石の上に厚さ11センチの石を挟み込んだことが明らかになった。北西隅の礎石は現状でも11センチ沈んでおり、挟み込んだ石を除去すると最低でも22センチの沈下となる。県教委によると、塔が傾いていた時期も想像できるという。礎石は創建時から動かされておらず、過去の修理では柱の根元に別の材を継いで傾きが修正されている。
礎石は突き固めた土の上に置かれている。この基盤が塔の重量で沈下したのだ。木材でできている塔は柔構造だから、ある程度の不等沈下は吸収できたのだろう。明治よりも前の修理で、柱の下に木材を継ぐ方式で沈下を補正したというのも面白いことだ。解体して継ぎ足したのだろうが、明治時代にやった礎石を継ぎ足すよりも難しそうに思えることを、昔の修理では行っているのはなぜだろう。継ぎ足しでも一番下にされるはずで、継いだ材木が30トンの圧力に耐えることをどのようにして予測できたのだろう。宮大工の優れた技術と木の力を知る直感と心意気がここにあると感じる。明治時代のようにまがいものの礎石を継ぎ足すなど論外のことだったに違いない。平成の解体修理ではどの方式を採用するのだろうか。