効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

これからの農業

新聞への投稿の中に、中年のご婦人からのものがあって、これからの農業の方向を示すものではないかと感じさせるものがあった。この方の妹さんのご主人がミカン農家だったが、50過ぎでガンのために亡くなられたそうだ。いつもミカンが妹さんから送られてくるそうだが、最近送られてきたミカンの味が前とは違って普通の味になっていることに気づいたという。妹さんのご主人は、独自の栽培法を工夫してミカンを育てておられ、これまで送られたミカンの味は本当に美味しいものだったそうだ。この味が普通の味になってしまったので、妹さんにミカンを誰が育てているかを尋ねたのだ。返事は、ミカンの農地を誰かに貸しているということだった。農地を借りた人は、亡くなったご主人の注いだ熱意と気配りに欠けているために、それに応じた味しかミカンは生み出さなかったのだ。普通ではないミカンであった頃には、おそらく高い値段で売れただろう。重さや個数で決まる売り上げではなく、好きだといって買ってくださるお客さんによって高い評価の値段の集積で売り上げができていたはずだ。
関税障壁がなくなると日本の農業が壊滅するとよく言われる。しかし、農業が生み出す産物に個性のあるものが増えて、それでなければならないと評価して貰えるようになれば、ということは、農家が特定の顧客に向けたものを生産し、その特定顧客の数を地道に増やすことができれば、農業の壊滅は阻止できるはず。国内だけでなく海外にも顧客を増やす方策も必要だ。今日歯医者の待ち時間に読んだ雑誌には、街の電気屋さんが値段の安さではなく、きめ細かなサービスを提供することで、量販店より高くても買って貰える顧客を開拓して、一時は倒産とも思えた商売を利益率の高いものに変えたという記事があった。これと同じことが農業にも言えるのではないだろうか。素人の考えで無責任かもしれないが、これまでの農業があまりに価格競争に入り込んでしまったことが、海外との競争に負ける要因の一つではないかと思ったのだ。