太陽光発電を設置して余剰電力を高く売れる制度が適用できるのは戸建て住宅だけだと思っていた。ところが、JX日鉱日石エネルギーが、マンションの屋上に設置した設備を居住者毎に分割して保有し、個々に売電できるシステムを開発し、全国販売を開始した。太陽電池パネル自体は屋上にまとめて設置するが、三洋電機と共同開発したパワーコンディショナーを使うことで、戸別に区分された太陽光発電システムからの電力をその所有世帯が使い切れなかった余剰分を売電できるようにしたものだ。居住世帯全てが太陽光発電を使いたいというケースは稀だろうから、屋上のスペースが可能なだけ設置して戸別に区分けするのだろう。マンション全体で数百キロワットに達する場合でも各戸の区分所有が10キロワット未満であれれば、家庭向けの余剰電力買取制度が適用される。JX日鉱日石エネルギーは石油事業の将来性に限界を感じて、再生可能エネルギー事業に力を入れ始めていることの具体的事例だろう。これからの技術開発によって、屋上だけでなく壁面にも設置が可能になっていけば、この方式の市場は拡大するだろう。
さらに考えれば、遠方に設置した太陽光発電設備のうち10キロワット未満までを区分所有し、その発電量と区分所有者の家の電力消費を比較し、消費電力量が少なければ余剰電力を系統に逆流させていると仮定することも理屈では可能となる。距離が離れていても通信で発電量と消費量に関わる情報を送ることは可能だから、一つのビジネスモデルとして成立するのではなかろうか。何か問題となる規制とか電力系統技術的な課題はあるだろうか。それは解決できないものだろうか。通信コストなどがかかるかもしれないが、それほど大きなものにはならないはず。太陽エネルギーの利用促進になることは確実なのだが。