効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

制約条件が新しいものを生む

昨日NEDOからのメール情報で入り、今日の朝刊に小さな囲み記事で報じられた新技術の開発ニュースがある。NEDOの資金で北海道大学の竹本準教授らが研究してきたレアアースを使わないで電気自動車の駆動に使えるほど小型で高出力の電気モーターが成果を出したということだ。昨今、中国がレアアースの輸出を制限する輸出政策を明確にしている中で、日本もこれを見越した研究開発をしていたのだというのは嬉しいことだ。以前にもここで書いたこともあるが、レアアースは中国が世界の90%ほどを生産している。ネオジムやジスプロシウムがなければ良い磁石ができないとされている。このような素材が一地域のみに生産が限定されていれば、必ず政治的な要因で制約条件が厳しくなる可能性があることは明白。しかし、よく成功したものだ。これまでも日本の磁石メーカーがレアアースを使わないものを開発しようとしてきたのだが、うまくいかないと聞いていた。このような技術開発力が日本になければ、いつでも脅しをかけられることは覚悟しておいた方がよい。
その中でも一番困るのはエネルギーだ。日本のエネルギー自給率は7〜8%しかない。石油ショックの後、石油の中東依存率を引き下げ、LNGの輸入を増やすなどしてきたが、これまでは経済大国として調達に大きな支障は出なかった。しかし、日本を追い抜く経済大国となった中国がエネルギーの純輸入国に転じていて、ロシアとも手を結ぼうとしているのを見ると、日本の必要とする石油や天然ガス、石炭を確保できなくなるような脅しをかけられる可能性もある。自前のエネルギーをいかに早く確保するかに知恵を絞り、技術を開発しなければなるまい。
中国からの輸入に依存している漢方薬の原料である甘草を日本で栽培しようとするメーカーのことも新聞が紹介していた。気候条件からして日本では難しいとされていたのだが、それを乗り越えてやろうという姿勢は素晴らしいものだ。その努力が直接の結果に必ずしも結びつかないかもしれないが、何か世界をリードする新しい技術の開発につながると思いたい。
相手が持たない切り札を幾つ持つかが鍵となる。