電気新聞が次のように報じている。四国電力グループの四国総合研究所は、電気自動車(EV)の今後の普及拡大を見据え、深夜電力(午後11時〜午前7時)による充電を想定し、充電開始時刻が集中しないよう、適切に配分する手法を開発した。EVごとにランダムに充電開始時刻を調整する。簡易で低コストに充電負荷を平準化し、ピークを大幅に低減できる。EV50台を想定したシミュレーションでは、平準化しない場合に比べ、ピークをほぼ3分の1に抑えられる見通し。現状では充電スタンド側の機能の一つとして実証を進めているが、今後はEV側にソフトを組み込むよう、自動車業界に採用を働きかける。
この問題はここで書いたことのある問題で、一般紙や雑誌にはいままで全くと言っていいほど報じられなかったことだ。やっと出てきたかという感じがする。深夜電力料金が午後11時から始まるのは誰でも知っているし、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)を買えば電気温水器や電気ヒートポンプ給湯器を設置したと同じように深夜電力料金が適用されるはず。だとすると、買った人は充電開始を午後11時にするだろう。充電開始時刻は必ず集中する。集中すると系統負荷が一斉に上がるので、乱数を発生させて、それに応じて充電の開始時間を遅らすという。乱数方式はなるほどと思ったが、今回開発したソフトは基本的に充電スタンド側に組み込み、つながった複数台のEVを個々に制御する。マンションなどのように一カ所に充電設備があって複数のEVの充電を適当な間隔に開けてやることになる。しかしこれでは不十分。普通の一戸建て住宅の並ぶところで、同じトランスに繋がる系統に何台ものEVがあって、それぞれに充電する場合にこの方式は使えない。何らかの情報交換が行われて乱数情報で譲り合いをしなければならない。電力線を使ったPLC(パワーラインコミュニケーション)でも良いが、勝手に充電開始ができないような制御プログラムに全てのEVが対応しなくてはならない。それもプロトコルが同じものでないといけないから、外国車も含めて標準化が行われないと制御ができなくなる。この課題解決に自動車メーカーがどこまで協力するかは見ものだろう。電力会社がEVの購入情報を入手する必要があるとすれば、これは個人情報だから扱いは難しくなるに違いない。公的介入も必要となるかもしれない。