効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

インドとの原子力協定

日本政府は、インドと原子力協定の締結に向けた交渉を開始した。協定を締結すれば、市場拡大が見込めるインドの原子力発電所建設などで、日本企業による受注や関連部材の輸出が可能になると見込まれるからだとされる。核拡散防止条約(NPT)に未加盟のまま核開発を続けてきたインドとの協定締結はNPTを形骸化させる可能性があったが、産業界などの要望も踏まえ交渉入りを決めたと報じられている。
原子力発電が増えることに賛成するわけではないが、現実問題として原発が増加するのを阻止できないとすれば、これまで安全稼働の技術を蓄積してきたと信じたい日本の原子力発電技術が、不測の事態に結びつくような事故を起こさないことに貢献できるのであれば、協定締結もやるべきだと思う。事故には人間の判断ミスが介在することが多いと前に書いたことがある。その意味で、最近報じられた島根原発の点検ミスなど、人の行動に信頼感がなくなっていることは問題だろう。
人間がミスを起こしても安全を守れるようなシステムを作ればよいではないかとよく言われるが、そのようなシステムは極めて複雑になり、人間が稼働状況を判断できなくなる可能性が高い。維持管理も難しくなる。日本の場合、列車の定時運転に代表されるように、運転要員がルールを守る資質は高い。逆にルールに支配されすぎるのが問題になるかもしれない。原子力発電の稼働を管理するのは各国のオペレーターだ。その人たちは異なった気質をもつために、それも考慮したシステム設計をしたうえで運転要員の教育訓練をしなくてはならないだろう。日本は海外との交流経験が先進国の中では少ないだけに、教育訓練も含めたトータルシステムの設計に弱みがあるのではないかと心配だ。その弱みを補いながら、安全度の高い原子力発電システムを設置してほしいと願っている。