効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ドイツの太陽光発電

ドイツは太陽光発電からの電力を、設備費を10年程度で回収できるくらい高い価格で買い取る政策を実施することによって、その発電設備の設置量を大幅に伸ばしてきたのはよく知られている。その基本的な考えは、毎年下がる設備費に応じて買い取り価格を下げていくというものだ。ところが、その政策によって太陽光発電の設置量が急増することによって、世界の太陽光発電設備価格が急速に下がり、そのテンポに買い取り価格の引き下げが追いつかなかった。今年に入ってこの固定価格の水準が大幅に引き下げられることになった。2010年1月から10%引き下げられた。しかし、これでも設備コストの下落に対応するには不十分で、さらなる引き下げが審議されている。6月にはさらに16%引き下げられると予想されている。
ドイツ国内に太陽光発電が普及したことから、ドイツには世界的な太陽電池メーカーが育った。BSWがその一つ。しかし、同時に中国、米国などにも低価格でセルを製造できるメーカーも生まれた。これが設備コスト、すなわち発電コストも大きく下がることになったのだ。そのために、従来の買い取り価格は太陽光発電が事業として非常に収益性の高いものとなり、設置量も急増した。それは、ドイツ政府の想定を超えたものとなり、買取による補助額は政府予算を圧迫することになったのだ。
固定価格を大幅に引き下げることによって、取付量は大きく削減される。それは太陽光発電関連の雇用に大きなマイナスをもたらすことになる。さらには、ドイツの太陽電池メーカーが息の根を止められるという見方もある。一方、これまでの太陽電池価格の下落を見ると、2013年には、グリッドパリティー、すなわち、太陽光発電からの電力価格が、電力事業が供給する電力価格と同じになるとする説もある。これからドイツの固定価格買取がどのような足取りになるか、注目していなければなるまい。