効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

王子製紙が出光興産に売電

王子製紙は、北海道内に保有する水力発電所がつくる電気の販売先を、この4月から地元の北海道電力から出光興産に変更すると今日の日経新聞が報じている。王子と出光のプレスレリースを調べてみたが、発表を見つけることはできなかった。ここでも以前に書いたが、出光は新丸ビルなどにグリーン電力を供給する事業を開始している。その供給源になるということだ。王子製紙尻別川第一、第二発電所を持ち、それぞれ6,100キロワット、7,200キロワットの出力を持つ。北海道苫小牧市にある自社工場電源として大正時代に運転を始めたが、送電コストがかさむために5年ほど前から北海道電力に売電していた。その電力に対して出光が北海道電力より高い購入価格を提示したために売電先を変更したということだ。
これはグリーン証書による権利の売買ではなく、電気というエネルギーそのものが売買されている。出光は、購入した電気を実物として東京まで届けることになる。別に王子製紙発電所の電気そのものが東京まで届けられるのではなく、北海道電力は相当分のキロワット時を東北電力に届け、東北電力が同じように同量を東京電力に届ける。30分同時同量制度は適用されるだろう。王子の設備は水力発電だから安定した出力を維持できるし規模も小さい。東京の丸ビルなどの消費量が大きな変動をしなければ制御はやりやすいだろう。しかし、同じようなケースが北海道に続出すると、北海道と本州の間の連系線のわずか60万キロワットの容量が制限条件になるかもしれない。
自家発電設備として水力や黒液・廃材などのバイオマス発電をしているところは全国的には多い。それを高く買うという事業がこれから出てくるかもしれない。その場合、今回のように電力会社の供給区域をまたがる場合も出てくるだろう。次のプロジェクトが続いて出るようであれば新しい電力供給事業者が拡大することになる。そうなるだろうか。