効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

米国の原発

原子力発電所の使用済み燃料処分政策をめぐって、米国が視界不良に陥っている。オバマ政権下でネバダ州ユッカマウンテンでの処分計画が中止されたことにともない、電力事業者などが損害賠償を求めて連邦政府を訴える動きが相次いでいる。ユッカマウンテン計画の中止は、使用済み燃料を引き取るとした国の契約不履行だという理屈だそうだ。日本人にはなかなか理解しにくいことではないだろうか。1月には代替案を話し合う有識者委員会も発足したが、2年間の検討期間でユッカマウンテンに代わる処分地を示すのは望み薄の状況。代替案なき政策転換がどこへ向かうのか、日本の関係者も動向を注視しているようだ。一方、電力消費者は、後処理費用を電気料金の一部に入れて支払っていて、その蓄積基金が2兆円近くになっているが、料金の一部として支払うのをやめさせるための動きでもあるようだ。
広大な米国でも高レベル放射性廃棄物の処理と保存は、候補地の住民の同意を得るまでに至っていない。これは単に自分の近くにはいやというNIMBY(Not in my back yard)で片付けられる問題ではない。放射性廃棄物を長期保存することに安全のお墨付きをつけられないのが問題なのだ。高レベル放射性廃棄物の処理がいつできるかはっきりしなければ、米国ですら原発の新設を増やすなど空中の楼閣になってしまう。米国は地震が過去に起きたことのない地殻構造を見つけることは可能かもしれないが、日本は列島全体が地震帯の上にのっかっているのだから、これだけでも大きな差がある。六ヶ所村の処理施設の稼働がこの秋頃に予定されているとはいえ、これまでのトラブル続出の状況から見ると、さらに遅れる可能性もある。現在使用済み核燃料は原子力発電所内に保管されている。その場所がなくなりそうなところもあると聞く。使用済み核燃料が処理されてプルトニウムを抽出したあとに残る廃棄物を保管する場所が決まらなければ、六ヶ所村が保管場所になってしまうだろう。