効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

英国の風力発電

一日中英国から初めて来日した電力会社の人を案内して日本のエネルギー事情を理解して貰えるように動き回った。電車の中などで話をしていると、彼はスコットランドから来たのだが、英国の位置と気候条件から見て太陽光発電には力を入れていないという。現在彼らが力を入れているのは洋上風力発電だ。洋上の方が風況が良いことは分かるが、発電した電力を陸上まで送る送電線も含めたコストが高くなる。それでも日本から見るとあっけにとられるほど大規模なものが計画に上がっている。今日入ったメール情報によれば、英国は既設の設備の50倍の風力発電を将来洋上に導入しようとしているそうだ。その中でも彼が働いている会社であるScottish PowerとVattenfall(ノルウェー)がNorfolk沿岸に500万キロワットを導入するという。現在欧州で最大の洋上風力は英国のThames Estuaryに建設中の361基のもので2012年に稼働するそうだが、その3倍に相当する。このような規模のものが導入されれば送電網に影響を与えることは必至。しかし、一緒にいる彼の話では、英国のスマートグリッドはエンドユーズに近い配電系統の問題であって、基幹送電網の比重は小さいという。その理由まで詳しく聞く時間がなかったが、風力導入とスマートグリッドは必ずしも同じ舞台に立っていないようだ。一つには、英国は昔国営1社だったから、全国を貫く高圧送電網が存在し、その管理も一元化されているために変動吸収の分担が比較的簡単なのだろう。上の2社の他に、電力事業がコンソーシアムを作って1千万キロワット建設するという噂もあるという。この変動はお互いに補い合うこともできるが、一斉に無風になる可能性はゼロではない。その時に既存の発電所が稼働して補うことができるのか、あるいは大型電池で一部負担するのか。電気自動車の蓄電池が利用できるのは10年ほど先になるから、どのような対応をするのか少しずつ聞いてみよう。自動車の蓄電池利用は、電力会社にとって善し悪し両面があると彼は云う。いい勉強ができる機会になった。