効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

環境保護にETC活用を

坂村 健東大教授が毎日新聞の「時代の風」欄に高速道路のあり方として環境保護にETC活用をと主張しておられる。自分が日頃考えていることを極めて具体的に述べて貰ったと感じている。
高速道路無料化が新政権の目玉政策になっているが、経済や予算だけでなく環境問題という評価軸も加わって話はさらに複雑だと問題提起をした後、高速道路を無料化するかどううかに関わらずーーというか、部分無料化するからこそここまで普及した日本のETC(自動料金収受システム)を積極利用すべきだと主張している。自分はまだETCを車につけていない。最近まで第二阪奈道路にETCが使えなかったし、今の生活では高速道路を滅多に使わないからだ。休日に安くなるといっても、敢えて混雑する日にでかける気力もない。だが坂村先生は、ETCの有用性を生かすには、その前提として全ての車両がETCを付けることだという。シンガポールでは日本のETCにあたる装置を完全義務化しているらしい。
次に、全ての自動車にETCが付いているならゲートのバーが必要なくなる、料金徴収ブースがいらなくなって設置コストが下がる、車がらみのサービス支払にETCが使えるとした上で、何よりETCなら非常に柔軟な料金徴収ができると指摘している。これは実に市場メカニズムを織り込んだ提案だと思う。ETCを管理するコンピュータのプログラムを変えるだけで、時間割引、車種割引、天気割引、さらには公共性の高い車両や障害者はタダとか自由に変更ができるとする。そのとおりだ。そして、必要に応じて一斉にある時間帯だけ料金を上げたり下げたりすることで、混雑緩和をしたりすることもできる。
ただこのような提案に行政が応じるかというと、なかなか難しいだろう。道路に関係した委員会に出ていたことがあるが、ETCの目的を極めて狭く設定しているためにプログラムやカードの方式が特殊化してしまって、変更が難しくなっているからだ。ETCがSuicaの代わりにならないかと提案したことがあったが、そういう拡張は考慮の他だと冷たい返事だったことを思い出す。ETCの義務化には、現在の価格が問題となる。大量生産で下げられるだろうが、すでに購入している人の不満は出るだろう。クレジットカードが必要になるので、これを持っていない人にも問題が出る。プリペイドカードの機能を持たせても良い。いま関西のPitapaはそうなっているから、工夫すれば可能なはず。この提案に従えば料金徴収コストは大きく下がるし、環境に悪い影響が出る自動車通行を管理することが可能になるだろう。実施に向けた検討を始めてほしいものだ。