効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

原子力発電所の廃炉の後に来るもの

昨夕にNHK原子力発電所廃炉に関する現状を日本、海外で現場取材したルポを放映した。最初おざなりのものかと思っていたが、原発廃炉した後に残る高度な放射能を持つ廃棄物、特に炉心部分の処理についてまったく定まった手法がないし、解体して取り出した放射能を帯びた部材についても、どこへ収納するかも決まっていないという、極めて無責任な実情であることを示す優れた番組だった。この事実は初めて知ったわけではなく、前から資料などを見て理解してはいたが、カメラが解体現場に入ることによって、自分の理解していたものが極めて浅いものにとどまっていることを思い知らされた。
ドイツでもフランスでも、解体予定が何年も遅れているし、炉心部にはほとんど手が付けられていない。また解体作業自体が作業員の被爆という問題を定常的に発生させることになる。原発は解体を前提として設計になっていないそうだ。しかも40年以上も前のものだから、残された設計図も解読が難しいものもあるという。これは日本も全く同じだろう。
原子力発電所とはこういうものだということを専門家も知りながら、世界では地球温暖化対応を目指して多くの原発が新規に着工されようとしている。このままで行くと、人類は地球温暖化よりも放射能汚染で絶滅するかもしれない。
よくNHKがこのようなプログラムを作れたものだ。また、日本の解体現場にカメラが入ったのは恐らく初めてだろうが、一般市民はどのように受け取っただろうか。放射能は技術で減らすことはできない。数千年は地下深く保管しなければならないが、海外の事例で、安定している地層だとして作った保管場所が、壁面がもろいこと、地下水が漏れることなどが分かって放棄されたという事実も映し出され、戦慄が走ったほどだ。電力会社はにがにがしい思いでこの番組を見ていただろうが、これで新規設置はますます難しくなるだろう。