効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

フランスの高速増殖炉

フランスの高速増殖炉(FBR)原型炉「フェニックス」(電気出力25万キロワット)の運転終了式典が12日(現地時間)、同国ガール県マルクールにあるフェニックスの敷地内で行われたという報道があった。原子力に電力の80パーセントほどを依存しているフランスが、高速増殖炉で作られるプルトニウムを使って、それを原発の燃料にするという、核燃料の循環をさせようとする計画の実現を諦めたのだ。日本では同じ増殖炉であるもんじゅを再稼働させようとしている。長期停止しているもんじゅの場合、逆に問題点が表面に出ないままに稼働して安全に関わる問題が出ないでもない。
フェニックスは1973年に臨界してから35年以上になる。もともとこの次に規模の大きいプラントを建設するはずだったのだが、この試験炉を実用化することができなかったのだ。今年3月には電力系統から切り離され、現在は設備停止時における燃料や部材の挙動を確認する「エンドオブライフ試験」を行っており、年内をめどに終了する予定と報じられている。高速増殖炉の場合、冷却材に溶融ナトリウムを使う。もんじゅの場合、これが漏出して発火したのが現在停止している第一の原因だった。これがうまくいっていれば、無限に原発用の燃料を生み出すことができるということだったが、フランスで今後に向けて高速増殖炉の計画がないのはなぜだろうか。聞くところでは、コスト、安全性、操作性の観点から、燃料を循環増殖させるという夢の計画を放棄せざるを得なかったということだ。このあたりの情報がほとんど出てこないのが問題だろう。高速増殖炉で増えるプルトニウムはウランと混ぜてMOX燃料として使用される。日本ではまだMOX燃料を製造することができないし、MOX燃料の使用に反対が強い。これからの高速増殖炉の動向を見守っていきたい。