効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

雨傘

昨日の午前中は真夏の晴れだった。大阪へでかけることがあって、もっていく手提げ鞄のなかにあった折りたたみ傘をわざわざ取り出したのは終日快晴が続くと思ったからだ。仕事を終えて夕方近く、電車が降車駅に近くなったとき窓ガラスに滴が斜めに走り出す。外の空を見ると真っ黒な雲の塊が動いている。しかし西の方には明るい空が見える。通り雨だろうと思ったからタクシーで帰宅など全く考えずバスに乗った。10分でバス停に降り立ったが、大粒の雨が力強く降っている。バスから降りた人たちは殆ど傘を持っていた。一人傘を持っていない方があったが、バッグから折りたたんだ携帯レインコートを取り出して、少し時間はかかったもののそれを身につけてバス停から離れてしまった。西の空は明るくなっていて雨脚は少し弱まっている。とはいえこの中を歩けばずぶ濡れになるのは確実。
バス停のすぐ傍に花のシーズンが終わった藤棚があって、葉っぱが厚く重なって雨除けになっている。その棚の端っこにある支柱に何か白いものがあるのに気がついた。傍に寄ってみると一番安物のビニール傘が添え木に引っかけてある。誰か雨の時に備えているのかと半分感心したのだが、その汚れ方を見るとどうも放置されているという風情。手にとろうとしたが、支柱に食い込んでなかなか外れなかった。傘を開いてみようとしたらビニールがくっつきあって無理をすると壊れそう。一枚一枚羽を開いていくと何とか一つの傘になった。内側がカビで黒くなっている。しかし、雨を防ぐことはできる。使わせて貰う決心をした。家までこの傘に助けられて濡れることなく到着したら、夕日が射し始めた。
またこの傘を元のところに戻しに行こう。誰かまたこのような状況で使う人も出るだろう。いかに汚れた安物の傘とはいえ、役割をまだ果たせるのだから。同じような傘は家にもあってほとんど利用する機会はないので、もう一本追加して藤棚に引っかけようかしら。捨ててしまってはゴミになるだけ。目障りでもなく邪魔にもならないのだから、何か役割を果たせる機会があるのなら、命を大事にしてやろう。