効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

Jパワー−石炭火力発電に間伐材

Jパワー(電源開発)が2010年に石炭火力発電所で森林の間伐材を石炭と混焼させるバイオマス発電を始めるようだ。同社のホームページを覗いてみたがプレス発表にはなかったから取材記事だろう。前にもチップやペレットを使う事例を書いたことがあるが、国内の森林の間伐材と限定して燃料に採用するのは初めてだと思う。Jパワーは各地に大型の石炭火力発電所を稼働させているから、これが本格化するとすれば、地域の林業にも大きなプラス効果が出るだろう。
経済産業相が実施予定のバイオマス混焼実証事業に応募して、まず長崎県の松浦石炭火力で来年中に実施する方向で準備を進めているとのこと。間伐材をペレットにして石炭に混ぜるのだが、熱量が低いから混入率は3%程度だろう。ペレットの受け入れ設備などに約10億円を投資し、最大で年間10万トンのペレットを使用する。この記事によると、間伐材は国内で年間約500万トン発生するが、大半が森林に放置されている。運び出すコストがかかりすぎるし、その利用が限定されているからだ。もし火力発電所で継続的に使われるとすると、それに必要な量を確実に届けることのできる体制ができなければ、ペレットの受け入れ設備も遊ぶことになる。森林整備につながるのは理屈としてはそうだが、森林整備をする人員や搬出手段がどの程度確保できるのか、難しい問題がいくつも解決されなければならない。だからこそ政府の実証事業になったのだが、経済性を含めて何とか成功させて欲しいものだ。間伐材を産出する地域にとって利益が出るものにしないと、いつまでも補助事業で続けるわけにはいかない。バイオマス発電でCO2排出削減ができた価値をどのように地域に還元できるか、その仕組み作りもよく考えなければなるまい。間伐材からペレットを作る事業は長崎にあるのだろうか。遠方から運ぶとすればコスト的に引き合わないだろうし、輸送にエネルギーを使うからCO2削減効果が少なくなってしまう。実証の結果、事業性がないということにならないことを切に願う。