効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

物流とCO2排出

7月13日の新聞に、カシオ計算機が中国から日本への製品出荷ルートを見直し、輸送時のCO2排出量を20分の一に削減すると報じられている。広東省中山市から鈴鹿流通センターへの輸送ルートを変更するのだが、現在香港から関西空港の空路を利用しているのを、深圳−上海間の鉄道と、上海−博多港間のフェリーを使うようにするそうだ。
製品100トンを運ぶときのCO2排出量は、従来ルートでは440トン。新ルートでは20トンと大幅に減ると同時に、物流コストも20%以上削減できると見ている。博多港から鈴鹿までは当面トラックを使うが、鉄道利用も検討してCO2削減効果の拡大を狙うとのこと。輸送日数は航空便を使った場合の3日から7日に延びるそうだ。最初の導入部を読んだときには、もっと遅れるのではないかと感じたが、案外早いなと思える。カシオの2008年度の物流関連のCO2排出量は約97,700トンで、工場・オフィスからの排出量に匹敵する規模だ。この中で空輸を活用する海外物流分が98%とのこと。
前にも、激しい競争をしている事務機メーカーが、配送を共同でやるようになったことをここで書いたことがある。物流が今までは、早く、時間通りにというのを競ってきたが、それにCO2排出量が判断要素に加わって、競争の中身に大きな変化が生まれるのではないかと思える。車を使った物流についても、いま宅急便は関西から東京へ一日で着くのが当たり前になっているのを、もし2日ほど遅くてもよいから鉄道便にして安くすれば、それを選択する顧客も増えるのではないか。それだけCO2排出は減る。そして、各家までの配送についても、もし小型電気トラックが実用化されれば、さらに温暖化対応を進めることができる。夢物語ではないだろう。そしてこのような対応をした企業に客がつくのがこれからの時代であるように思える。空輸のエネルギー効率の低さを知ってはいたが、これほどの削減数字を見せられると、ビジネスシステムを変えることによってCO2削減余地はまだまだ多く残されているのだろうと実感した。