来年に入って開始されるはずだった家庭用太陽光発電の発電した電力で、自家使用しきれなかったいわゆる余剰電力を電力会社が通常の家庭用料金よりも高く買うという制度が、今年中に始まることになったようだ。今年12月にコペンハーゲンである京都議定書以降への対応策が検討されるから、少しでも有利な条件を作るためだろうか。
この余剰電力買い取りについて、金持ちしか太陽電池を設置できないのだから、裕福な人たちを優遇する不公平な制度だという論がある。電力会社もそうだが、一部の消費者団体も言っている。これはどうもおかしい論議だ。確かに懐にお金がない人が太陽光発電を設置することはない。ただ、その太陽光発電からの電力の全部ではなく余剰分しか買わないので、10年間この制度の適用を受けても設備投資を回収できない。ということは、儲かることにはならないということだ。設置した後支払う電気代が少なくなるし、余剰電力を売った収入が入って、得をしたような感じになることは確かだろう。しかし、これは利益を出したことにはならない。経済的に余裕のある人に設置しやすくすることにはなるが、儲けさせることにはならないということだ。15年して収益があがるようになったとしても、その頃には直流を交流に変えるインバーターが故障したりして、費用が発生するはずだ。
この制度は経済的に動きやすい人に地球温暖化抑制に協力して貰うものであって、その設置によって恩恵を受けるのは、太陽光発電を設置しない人も含めて全ての人なのだ。それに対するお返しとして毎月支払う電気代が当面100円ほど高くなるのだと考える方が公平なのではないか。