効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

Ballard社が日本市場を見切ったか

カナダの固体高分子型燃料電池開発企業であるBallard社は、日本の荏原社と組んで合弁企業Ebara Ballard社を設立し、日本の実証試験にも東京ガスから実証機を提供してきた。ところが5月24日にプレス発表を行い、この合弁を解消するということだ。これから必要となる長期間にわたる開発と市場開発に必要な投資に耐えられないと判断したのだろうか。ヨーロッパの企業にはそのセルスタックを継続して供給するというように発表しているが、日本については荏原社がいま稼働中のユニットのメンテサービスを継続するとしているだけである。判断するに、パナソニックの開発した家庭用燃料電池の方が優れていて、東京ガスから見放されたのではないだろうか。
日本政府は大きな補助金をつけて家庭用燃料電池エネファームを普及させようとしている。しかし、荏原は現在の経営状態からすると、ここ数年間利益を出せない燃料電池の開発に資金を投ずることが難しくなっているはずだ。パナソニックの場合には全社プロジェクトになっているが、荏原ではそれほどの位置づけにはない。だとすると、Ballardが資金面でも負担を継続しなければならないから、単にセルスタックを供給するだけの事業をしているBallardとしては、事業性がないと判断したのだと思う。
これが日本の家庭用燃料電池の開発普及にどのようなインパクトを与えるだろうか。明日以降に日本側からの発表があるだろうが、どういう記事になるか興味津々だ。