効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

シャワーの熱回収

オーストラリアのクイーンズランド工科大学でインターラクティブ・デザインを教えている長男から、こんなものがあるよというメールが届いた。そこで示されたURLを辿ってみると、シャワーを浴びた後排水溝に流れていくまだ暖かいお湯から熱を回収するためのユニットが開発されているということが分かった。特別にハイテクというのではないが、着想が面白い。というよりも、もう既にどこかで実用化されていてもおかしくないほどシンプルなものだ。排水溝に流されたお湯は今までであればそのまま下水に直行する。それを小さな熱交換器に持っていき、シャワーを浴びているときに水道から入ってくる冷水に熱を移してやるということだ。
日本の場合はお風呂が主流だから、お風呂を終えてお湯を流すときに給湯器は働いていない。この温排水で水道と熱交換させようとしても、水道が流れていないから熱を十分移すことができない。欧米の場合、お風呂に入るのは週に一回あるかなしで、熱いシャワーを浴びるのが主流だ。朝起きたときと夜寝る前に浴びるのが普通かもしれない。世帯人数が多ければ、それに使われるお湯の量が多くなるのは当然だ。シャワーを浴びるときには、必ず給湯器からお湯が供給される。そのお湯の温度は高めに設定されていて、好みに合わせて水道水とミックスして快適なお湯にする。ということは水道から冷水が供給されるということだ。この流れている冷水に熱交換器を通してまだ暖かいシャワー排水の熱を与えてやれば、冷水の温度が上がるために、給湯器からの熱いお湯を使う量が減ることになる。一回一回の回収量は少なくても、その累積回収熱量は大きくなるだろう。給湯器の使用を最高40%までカットすることが可能だというから、次第にシャワーの利用が拡大している日本でも使えるかもしれない。給湯器が近くにあれば、そこへの水道配管に接続しても良いはずだ。
既築の家にこれを取り付けるには、どうしても水道工事が伴うが、新築の場合にはほとんど工事費のアップはないだろう。この熱交換器は単純な構造で、排水の中に紛れ込む抜け毛などが絡まないように滑らかな表面を持つ配管を介して熱交換するようになっている。値段は分からないが高価なものではないはずだ。排水溝から水道管までの配管に断熱材を巻いておく必要はあるとはいえ、高度の技術が必要なものではない。面白いエコ商品が生まれたものだ。商品名はエコ・ドレイン。カナダで開発されたものだ。