効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

米国の送配電系統強化

最近米国から入ってくる情報を眺めていると、再生可能エネルギーの導入を促進する施策の一環として、全米を南北と東西に走る、州を越えた大規模な送配電設備を導入する方向が明確に示されている。再生可能エネルギーの導入には、いろいろなプロジェクトに対する補助金や税控除などが強化されているが、風力発電太陽光発電のように自然現象の影響を受けて発電量が変動しやすく、それを制御するのがこれまででは難しかったものを、長大な高圧送電網を新設することによって、風力が豊富なところで発電された電力を、その時に電力需要が高いところへ送ろうという計画なのだ。
その時に伝統的な高圧交流送電を行うと、長距離輸送によって送電ロスが非常に大きくなるのは避けられない。それを避けるためにはどうしても高圧直流送電を行わなくてはならないはずだ。全部をそうする必要はないが、電源と需要地が常に大きく離れている条件が常に存在するとすれば、例えば中西部の大規模な風力発電からの電力をニューヨークなどの東部に送ると言うことになれば、どうしても直流送電幹線を設置せざるを得ないだろう。これはゴア元副大統領の発表している施策の中に明確に述べられている。オバマ政権が発表している予算の中にも、100億ドルを超える規模の投資が系統充実に使われることになっている。
この時に、まだ研究開発途上であるといわれる超電導を利用することができれば、必ずしも直流にしなくても送電ロスを抑制できると考えられる。まだコストが高いから、長距離設置は難しいが、要となる場所では実用的に利用することができるかもしれない。米国の送配電網は脆弱だと良く言われるが、数年すれば再生可能エネルギーの導入に適した送配電網がCO2排出抑制に大きな力を発揮しているかもしれない。その時日本はどういう対応をしているだろうか。日本の家庭用エネルギーで大きく伸びているのは電力だという現実を見ると、米国のやり方も見習う必要もあるだろう。基本的な系統の成り立ちが異なっている部分があるのは事実だが、唯我独尊では世界の流れに取り残されるのではないだろうか。