効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

風力発電と蓄電池

日本製鋼所が自社で製造する風力発電機に蓄電池を最初から併設した発電システムを早ければ2010年から販売すると報じられている。風任せでの発電となる風力発電の弱点を補うためだとしている。蓄電池を設置すれば確かに平準化できるし、夜発電した場合にはそれを蓄電しておいて、需要が多い昼に夜よりも高い価格で売ることができるだろう。しかし、発電システム自体の価格は跳ね上がり(記事では2倍としている)、システムが発電する電気のコストは高くならざるを得ない。
電力会社の系統の状況によっては、蓄電池の必要性があるケースもあるだろうが、欧米で大型の蓄電池で変動を吸収しようとすることは殆ど行われていない。蓄電池の併設が当然のことになってしまうと、コストアップのために風力発電の普及は大きく阻害されるだろう。高くなった分を上乗せして電力会社が購入してくれるとは思えないからだ。電力会社以外の事業者に売るということも行われ始めているとはいえ、環境価値を評価して購入する事業者が増えるとも思えない。
このような小手先の方法ではなく、系統全体で変動する電源を受け入れるにはどうするか、そのコストはどれくらいかを真剣に検討する必要があると思う。風力発電太陽光発電からの電力は品質が悪いと電力会社は力説する。しかし、どのような形で品質劣化が起こり、それが日本社会にとってどのようなコスト負担となるのかを検討しなければ、電力会社の都合の良い論理に迎合するこのような商品が定着してしまうことを心配する。