効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ハイブリッド自動車と熱

米国の国立再生可能エネルギー研究所からの情報を読んでいたら、なるほどというものがあった。いま自動車メーカーは全力を挙げてハイブリッド、あるいは電気自動車の開発しようとしている。日本に遅れをとっている米国のメーカーは、オバマ政権がつい最近施工した米国再生法にも示されているグリーンニューディールの動きに乗って、日本とは異なるものを市場に出そうとしている。その時に鍵を握るのが熱だというのがこの情報である。
ハイブリッド自動車にしろ電気自動車にしろ、複雑な制御機構が組み込まれている。その主なものは電子的な制御であって、そこからの発熱は大きなものとなる。また電池自体も電流が流れる程度にしたがって発熱し、極端な場合には劣化や破壊の原因にもなる。このレポートが力説しているのは、これら全体に影響を与える熱をうまく管理しないと、制御機構が暴走したり、電池の性能が急激に落ちたりするということだ。自動車の場合、移動体であるだけに、乗客の目に触れない部分はできるだけ狭いところに押し込もうとする。また、そのような部分の重量を可能な限り小さくしようとする。その結果、制御回路に使われている半導体回路の基板も小さくなり、放熱させるのが難しくなる。これは大型の蓄電池も同じこと。蓄電池については容積も重量も大きいから、かなり無理をしているために、発熱もしやすいし、熱を逃がすのも難しい。
トヨタハイブリッド自動車の駆動システムは90%の効率で動くが、このシステムを冷却する循環液の温度が上がるとこの効率が急激に下がることをこの研究所では経験している。ハイブリッドや電気自動車ではパワー半導体が使われる。これの温度上昇は大きいために熱放散方式が各社で開発されている。この研究所でも各部品同士の間で熱移動が効率よく行われるような接合方式や接合材料、新しい熱媒体の研究開発を行っているという。熱媒体については、いままで想定されていなかったような材料も試験しているらしい。
熱というのは厄介なものだ。温度の高いところから低いところに熱エネルギーは流れるのだが、その流れ方は抵抗が低いほうに向かうため、熱の良導体でうまく誘導して、最後に効率的に大気中に放散させてやらなければならない。それも大型のものでは自動車の車体容量に占める比率が高くなってしまうので、小型でありながら高い効率で熱を移動させる機能をもっていなければならない。熱はいずれ捨てるものだから、そのために大きなコストをかけるわけにもいかない。これはノートパソコンなどにも大きな課題として残されているものだ。たかが熱、されど熱。