効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

風力発電泣き笑い

陸奥新聞の報道によると、東京都の風力発電事業者・エムアンドディーグリーンエネルギー(M&D)が、五所川原市などに計画していた風力発電施設の建設を取りやめたことが2日までに分かった。M&D社は昨年、東北電力が募集した電力系統の接続候補者に当選し準備を進めてきたが、技術的対策の費用などを検討した結果、「採算性に合わない」として辞退した。M&D社は2011年度までに五所川原市中泊町横浜町風力発電設備合計25基(出力合計約5万キロワット)の建設を計画していた。陸奥新聞の取材にM&D社の担当者は「東北電力から(風力発電施設建設に当たり)蓄電池を含めた周波数の変動について、技術的対策を求められた。検討したが費用の総額が採算性に合わなかった」と説明。1月下旬になって当選を辞退したとの指摘に対しては「事業を行う前提でいたが、ぎりぎりまで判断した結果」とした。結局東北電力が要求した蓄電池の設置コストが大きく、それに対応しただけ高く電力を東北電力に買って貰えなかったということだろう。
一方、出光興産は環境負荷が低いグリーン電力の小売り事業に参入する一環で、日本風力発電と共同で風力発電所を設置し、オフィスビルなどに供給すると報道されている。東京都などが企業に対する環境規制を強めており、企業のグリーン電力需要が高まる、すなわち高く売れると判断したわけだ。一般企業向けであるだけに、需要に応じて送電できなくてはならない。そのためには常に変動している風力発電の出力を、大型蓄電池に貯めておいて、需要に応じて送るという形を取らざるを得ない。その場合には電力会社の送電網を使って電力をオフィスビルなどに送るので、30分同時同量になるように出力を制御しなくてはならない。
蓄電池のコストを入れて電力料金は高くなるが、それを一般の企業が買ってくれるという確信があるのだろう。M&D社の場合には、東北電力の売電価格が低くて採算が取れなかったのだが、出光の場合には採算が取れる程度に高く売ることができると判断したのだ。このビジネスモデルがどこまで日本で普及するか、しばらく様子を見る必要があるだろう。