効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

原発の稼働率を90%にとの政策目標

今日の新聞が報じるところによると、政府は地球温暖化対応の一環として、CO2を稼働時に排出しない原子力発電の稼働率を欧米並みの90%に引き上げようという目標を打ち出すそうだ。これから10年間を特別行動期間としているが、自然エネルギーからの電力を固定価格で買い取る制度の他に設定されているものだ。定期検査の期間を短くしたり間隔を長くしたりも入るだろう。そうすると機器トラブルを未然に防ぐ機会も減る。原発は集中型大規模発電所だから、何かのトラブルがあって一基止まっても100万キロワット単位で稼働量が減るのだから、いまある55基の原発が定期検査の期間だけ止まるということを前提にしているような高い稼働率はまず実現できないと思う
日本には人間がコントロールできない地震が全国何処へ行っても起こるのだし、ある規模以上になれば自動的に原発の稼働は止まることになる。欧米では日本のように地震帯の上に国があるところは少ない。そのような国の稼働率と同じにするというのは、地球温暖化対応を理由にして、電力会社の維持管理費用を抑えようとする意図が隠されているのだと言える。日本の場合、どのような理由にしろ一度止まった原発が再稼働するには、外国に比べて長期間の点検や地域対応が必要となる。それだけでも外国並みの稼働率を実現するのは不可能に近いのは明らかだが、それでもこの目標達成のためとしてコストを上げる要因となっている管理基準を緩やかにする方向にまず向かうだろう。そして地震などの自然災害によるものは不可抗力として目標達成ができなかった時の言い訳にするに違いない。
日本の原発の多くが当初の設計寿命に到達しようとしている。そこに管理基準を緩和して良いとするのはどこの発想だろうか。稼働時にCO2を出さないことを金科玉条のように評価しているが、日本全体で化石燃料の消費を抑制することが必要なのであって、たとえば火力発電所発電効率を上げることでも効果は大きい。そして日本の電力網を、大型の風力発電を多く受け入れできるように整備する方が、ずっとリスクは小さい。また、分散型のコージェネレーションのように総合効率の高いものを普及させれば化石燃料の消費は抑制できる。六ヶ所村での使用済み核燃料再処理工場の稼働が遅れに遅れている現状を見ると、間もなく使用済み燃料処理ができなくなって稼働率を上げるどころの話ではなくなるのではないか。