効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

伊勢神宮の式年遷宮

今日配信された日経BPのエコジャパンメールに興味ある記事があった。矢野憲一氏の書いたもので、「式年遷宮というと、一般には建物の造営が中心だと思われるだろう。だが、衣服や調度品といった、神々の御料品(ごりょうひん)の約2500点が、平安時代の『儀式帳』の規定のままに、当代最高の美術工芸家によって、新しく調製・奉納されている。」とあって、千年以上も御料品が作り伝えられているというものだ。この間初詣をしたときに春日大社遷宮に触れたが、その時には建物のことしか念頭になかった。だが春日大社も建物だけでなく調度品についても同じように新しくなっているのかもしれない。
昔のものを同じ素材、同じ技術で作るというのは信じられないことだが、伊勢神宮ではその努力が営々と続けられているのだから、驚嘆に値するものだと思う。「20年に一度の式年遷宮で新調する850種、2500点の御料品は、正倉院の宝物のように伝統の美が生かされた絶品ばかりだ。中でも特にきらびやかなのは、玉纏御太刀(たままきのおんたち)である。琥珀(こはく)、瑠璃(るり)、瑪瑙(めのう)、水晶など約450丸の玉をはめ込んだこの太刀は、同様のものが奈良県藤ノ木古墳から出土したことで有名になった。」と記述されている。玉類は勿論だが、太刀もふいごで精錬した玉はがねでなくてはならないし、その飾りも当時の天然素材、染色も同じことということになると、入手も難しいし、それの技法が今に伝わっているかも問題となる。
このような伝統が、ただ伝統として存在するのではなく、循環社会に向けたものとして市場評価ができるようになれば、その伝統を受け継ぐ人なり企業も存続できることになる。伝統行事に使われるものの入手が難しくなっているという話はよく聞く。これを仕方がないとするか、素材を守り育てるのが事業としても成立するような仕組みを作るかを考えなくてはならないだろう。
太刀の飾りにトキの羽根が使われているそうだ。日本にもうトキはいないから昔保存したものがなくなれば調達できない。ワシの羽根も必要だそうで、捕獲が条約で禁止されているのでこれも難しいという。これは仕方がないとせざるを得ないが、素材については再生させることは不可能ではないだろう。千年前のものと同じものが現在でもまだ新調できる間に回復を図るのは日本社会の責任だ。というのは簡単だが。