効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

太陽電池搭載の自動車運搬船

昨年、日本郵船の自動車運搬専用船に太陽電池が搭載されたことをここで書いた。その船が12月19日に三菱重工神戸造船所から初航海に出発した。荷主であるトヨタ自動車の張 富士夫会長、船主である日本郵船草刈隆郎会長、太陽電池メーカーの新日本石油の渡 文明会長と、関連企業のトップがその式典に顔を見せたというから、この船の実績にこれら企業が並々ならぬ関心を寄せているということだろう。
海運業界にとって二酸化炭素の排出削減は大きな課題である。京都議定書では国際航空や外航海運は適用除外になっている。しかし、すでにEUで具体化する方向に向かっているように、今年末の期限で交渉が続いている「ポスト京都」の取り決めでは何らかの規制がかかるのは間違いないからだ。報道によれば、海運会社の二酸化炭素排出量は意外なほど多い。世界全体では、国際海運由来のCO2排出量は8億4000万トンで、うち日本の海運業界が1億トンを占めている。日本郵船だけでも2007年に単体で1679万トン、グループ企業を含む連結ベースで2300万トン。これは住友金属工業(2200万トン)や関西電力(2000万トン)を上回っている。
船舶はC重油という粘性が高く硫黄分の多い油を燃料に使っているために、排ガス自体も大気を汚染するレベルが高い。それに加えてCO2を大量に排出しているのだから、地球環境に与える影響は大きい。環境に与えるインパクトを下げるのはいずれはやらなくてはならないことなのだが、それにやっと着手したというところだろう。
新日石の開発している太陽電池は、非シリコン系の有機/無機ハイブリッドのものだ。製造コストはシリコン系よりかなり安くなるはずだ。40%の変換効率を目標にして開発が進められているが、もう一つの課題はその寿命だ。今回外洋船舶に搭載するのは過酷な条件下でどのような性能変化が発生するかを知る良い実験となるだろう。