効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

通信用LSIの消費電力10分の一

NTTが室内の照明や空調などの稼働状態を多数のセンサーで監視する新技術「センサーネットワーク」向けに、消費電力を大幅に引き下げられる通信技術を開発した。送受信時の電波の補正に新手法を導入することで、送信部のLSI(大規模集積回路)の消費電力を従来の10分の一にできる。
自分も2級アマチュア無線技師だから、この分野には関心がまだある。これからエネルギー消費の監視やデータ収集に多数のセンサーが使われるが、数が多くなるとデータを送るのにどうしても無線通信を使わざるを得なくなる。ところが、数メートル程度送るための無線送信機でもかなりの電力を消費するために、どうしても電力を外部から供給しなければならなかった。それは送信部に電波の周波数を補正する水晶振動子が必要だったからだ。NTTはこれに使うアナログ回路を省くことのできる発信・受信システムを開発して、送信部を完全にデジタル化して消費電力を大きく削減したという。周波数が補正されない電波を受信する技術がどのようなものかよく分からない。いずれにしろ、送受信が完全にデジタル化したということは間違いない。開発したLSIを使えば有線の通信網や電源のない場所でもセンサーネットワークが使える。テストでは、データを一日に1000回伝送してもボタン型のリチウム電池一つで10年以上もつというから大したものだ。データ収集システムのイニシャルコストと運用コストが大きく下がることになるだろう。
IT関連のエネルギー消費の増大が大きな問題になっているが、ITを使ってエネルギー効率を上げるためにも、ITシステムの利用はこれからも大きく伸びることは確かだ。その時に消費されるエネルギーが全体のエネルギー総量をあげる恐れがあったのが、この開発技術でかなり解決できるのではないか。ただ、センサーの多様化が進み、同時にコストが下がると、センサーネットワークの絶対数が幾何級数的に増えることも予想される。その増加が送信LSIの消費電力が10分の一になったのを帳消しにしてしまわないとも限らない。よく見守っていなければならないだろう。