効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ギアを使わない風力発電機

日本製鋼所がギアを使わない風力発電機を開発した。昔カリフォルニアにあるウインドファームと呼ばれる大規模風力発電所へ見学に行ったときに、思ったほど音がしないなと思ったのと、メーカーによって音の大きさや高さが違うなという感じを持ったことを思い出している。その時に説明してくれた人が、このウインドファームには日本のメーカーのものもあるが、羽の回転を高速にして発電機を回転させるためのギアの音が大きいのが欠点だと言われた。開発の歴史が短いから仕方がないのだろうがというコメントだった。
最近では風力発電機の規模が大きくなって2千とか3千キロワットになっている。羽の回転を増速機と言われるギアの塊みたいな機構で、ゆっくり回る風車の回転数をギアで100倍くらいに上げているのだが、規模が大きくなればそれだけギアやそれを支えるベアリングにかかる力も大きくなって、それが物理的なトラブルの原因となる。日本は山の斜面に風車が取り付けられることが多い。そのため風向きや風速が、欧米のように平坦なところで吹く風に比べると急に変化することが多いのは事実だ。そのため、ギアに大きな力がかかって、そのような変化をあまり経験していない外国製の設備はギアのトラブルが多いと言われる。日本の大型風力設備は三菱重工だけが作っていて、日本の風への対応は進んでいると聞くものの、外国製に比べて増速機が原因のトラブルが少ないかどうかはよく分からない。
このトラブルの要因となるギアを全く使わない方式のものを日本製鋼所が完成したそうだ。そして受注も順調に動き始めているらしい。ギアがあるとそこの摩擦でエネルギーが失われるので発電機に風の力が伝達される比率も少し下がることになるから、ギアを使わないとすれば発電効率も上がることになる。風車の軸と発電機が直結しているそうだが、ギア式のものよりも大型になり、重さも増えるため、バランスを取るために従来のものとは違って位置に取り付けられているようだ。ただ、どうして直結できるのか自分にはまだ理解できていない。従来のものが誘導発電機であったのが、同期発電機になっているとしか説明がないからだ。いままで誘導発電機が使われなかったのは、何か解決できない問題があったのだろう。一般の発電機には同期発電機が多いと他の資料には出ているので、風力発電には何か使いにくい特性があったのだろう。それをどのようにして解決したのだろうか。それは別として、コスト差が大きくなければ、トラブルを引き下げることができるだろうから、少なくとも日本国内では意味のあるものになる可能性は高い。メンテの必要な部分が少なくなるから、海外市場にも魅力のあるものとなれば面白いと思う。