効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

電車車体の軽量化

自動車や飛行機の軽量化のために車体の金属が炭素繊維と樹脂を組み合わせた強化樹脂に置き換わりつつあることは何度か書いたことがある。しかし、電車の車体までが炭素繊維強化樹脂に変わろうとしていることを知って、あらためて重量がエネルギーに与える影響を再認識した。この強化樹脂を作るためには、金型で形を作ってから、全体を大きな炉に入れて焼き固めなくてはならない。IHIが韓国のメーカーと共同で一体成型する新交通システム用車両を開発したとのこと。新交通システムだから車体が通常の電車に比べればいくらか短いだけ炉の大きさも小さくて済むし、温度の管理もやりやすいだろうとは思う。しかし、ここまで技術が進んできたのかと感心した。
これまでも新幹線用車両の軽量化の話は聞いていて、断熱材兼防音材に薄い炭素繊維を使っているということだった。軽量化すればそれを運ぶ電力消費は落ちるが、あまり軽くしすぎると高速運転の車輪がレールとの間に必要な摩擦が少なくなって滑りするのではないかなどと思ったこともある。航空機の場合には、強度が同じならば軽ければ軽いほど良いのだが、電車の場合には車輪でレールを押すことになるので、ある程度の重さは必要だろう。ただ、新交通システムのようにゆっくり走る電車の場合には、重量の軽減からくるマイナスはないだろう。十分な強度があるために窓を大きくとれるとも報じられているから、この技術はバスなどにも利用できるかもしれない。
電車の重量を考えていて気がついたのだが、普通の郊外電車の場合、ラッシュ時と閑散時では乗客の重量が大きく異なる。また、冬と夏では乗客の衣類の重さがかなり違うから、その総重量にも大きな差が出るはずだ。一人一人だけをみれば、季節による重要さは大した大きさではないかもしれないが、それが混雑した車両の場合には積算値は大きくなる。そうすると運転手のブレーキ操作にも影響するし、電力消費、特に動き始めるときのエネルギー消費にはかなりの差があるのではないか。それに対応した電力供給が行われなくてはならないために、電力会社は自分の変電所を持っているし、大規模な自家発電設備を持っている所も多い。一般対象の電力供給管理とは違うために、独自の管理をしているはずだ。
一つ一つをみれば小さな重量差も、それが積み重なるとエネルギー消費に大きく影響すると言うことを改めて考えさせられた。クールビズが定着してきたが、冬に使うコート類の重さを引き下げながらファッショナブルで売れるような開発が行われれば、電車や飛行機のエネルギー消費が下がるかもしれない。誰か計算してくれないかしら。