効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

米国の天然ガス需要増大か

エネルギー関連の海外情報によれば、米国の天然ガス需要が増大するのは必然であるようだ。米国の発電所は石炭を燃料にしている比率が2006年発電実績で全体の49%と極めて高い。ついで天然ガスが20%であり、原発はそれより若干低いくらいだが、石油はほとんど使っていなくて1.6%ほど。石油より水力を除いた風力など再生可能エネルギーによるものが2.4%と石油より多いくらいだ。
北米(米国とカナダ)で二酸化炭素の排出について、国レベルの規制がかけられるのは時間の問題だと受け止められている。それに加えて、住民の反発を受けた州政府が、石炭火力発電所の新設に強いブレーキをかけている。その一方で原発についても、電力会社自体がリスクが高すぎるとして新設に必ずしも乗り気ではない。とすれば、残るのは天然ガスとなる。天然ガスが排出する二酸化炭素の排出量は石炭に比べてはるかに低いから、地球温暖化対応を機敏にしようと思えば、天然ガスにシフトするだろう。したがって、当面考えられる市場の反応は天然ガス価格の上昇だろうが、それを受けて国内ガス田の開発投資が始まり、同時に海外からLNGを輸入しようとするだろう。ところがLNG基地の建設が順調には進んでいない。受け入れ基地周辺の住民が、テロの恐れとか景観の問題などで反対するケースが多いからだ。とすれば、天然ガスを使う火力発電所の古いものをコンバインドサイクルにして効率を上げる一方で、電力需要そのものを強力な方策で引き下げようとするだろう。
米国は、国内に未開発の天然ガスがかなりあるとされる。いままでは将来の価格動向が必ずしも開発に資金が投じられるほど上がるとは考えられていなかったために、大規模な開発がなされなかったのだ。ただ、稼働中のガス田でも一時的な増量をすることは可能であり、天然ガス価格が上がれば増量もされるだろう。そのうちに新規ガス田の開発も進むだろう。天然ガス価格の上昇が確実だと見えると、電力会社はある程度の高値で天然ガス事業者と長期購入契約を結ぶ方向に行くと言われている。それによって利益を高めた井戸元事業者は開発に投資する。
石炭火力が天然ガス火力に大きくスイッチするというのは、石炭の比率が高いだけに難しい。しかし、カーボントレードが本格的になれば、天然ガスの比率を高めようとするインセンティブは強くなり、限界的な発電量を天然ガスで賄おうとする電力会社は増えると予想される。
日本の場合、2006年には原子力発電が30%、LNGが26%、石炭が24%、石油などが10%、水力が10%となっている。化石燃料は国際市場の石油価格の影響を受けるので、今後の動向を見ないと何とも言えないが、原油価格がバレル60〜70ドルだとすれば、石炭価格も上がっているから、LNG天然ガス)へのシフトはある程度起きるかもしれないが、国内で採取できる米国とは違って、温暖化対策としてのシフトは少ないだろう。ただ原発の大きな部分が停止しているから、その結果として天然ガスが増えるし、これから古くて効率の悪い石油火力が天然ガスのコンバインドサイクルに変わるに違いない。日本の場合電力需要そのものを引き下げようとする施策はないだろう。