効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

蓄電池の技術開発相次ぐ

このところ毎日といっても良いくらいに蓄電池関連の開発ニュースに出くわしている。へーと思ったのが出光興産の開発した電解液を使わないリチウムイオン電池だ。まだ基礎研究の段階ではあるが、現在のリチウムイオン電池よりも容量が飛躍的に大きく、安全性も高い究極の蓄電池だと報道されている。出光興産が試作したのは「全個体電池」。電解液の代わりに硫化リチウムを主成分とする粉末にしたのだが、電子を動かすリチウムイオンが液体並みに動き回れるそうだ。国の試算では現在のリチウムイオン電池よりも容量性能で7倍、コストも40分の一にすれば、電気自動車が一回の充電でガソリン車並の500キロメートルを走れるものとなるが、この全固体電池なら可能性があるという。
また、新神戸電機が長寿命の鉛蓄電池を開発したと発表している。鉛蓄電池は現在普遍的に自動車用に使われているもの。ただ、電流密度が低いために容量を大きくすると図体が大きくなって重くなるのと、寿命が自動車用の場合5年くらいしかない。これを風力発電の変動吸収に使えるよう10年ほどに寿命を延ばしていたのを、風力発電設備の耐用年数である17年にまで引き延ばすことに成功したということだ。2009年4月ということは来年度の初めから1000A時と1500A時の2種類の容量で発売する。1500A時の価格は約9万円とのこと。風力発電の規模に応じてこれを積み重ねることになる。
風力発電の変動を吸収するのに日本ガイシ東京電力が開発したNaS電池が使われ始めている。この電池は鉛電池に比べてエネルギー密度は高いが、常時電池の温度を数百度に保っておかなければならないために貯蔵効率が落ちるし、高温であるために寿命が短くなるという課題がある。新開発の鉛電池の価格はこのNaS電池と同程度になるそうだが、高温に保つ必要もないためにランニングコストは低くなるそうだ。鉛のリサイクルは完全に行われていて電池材料として再利用する技術も進んでいる。新神戸電機が設定した価格はNaS電池と同じ価格レベルであるようで、この鉛電池を風力発電用に発売する。
こうなると、このような蓄電池を家庭やビルに設置して、非常用や、安価な深夜電力を貯める、あるいは太陽光発電の電気を貯めるなどにも使えるようになるだろう。電力需要の平準化に使えるほどの容量が設置されれば、系統に電力を売るということも始まるに違いない。電気は発電所から需要のあるところへ流れるという今までの常識が変化する可能性が高くなっているように思える。