効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

下水処理水から高純度リンの回収

(ある必要性があって、このところ「です、ます」文章を試みていたのですが、慣れないせいもあって書きにくいときもあるし、読みにくいという評も貰ったので、元の「である」の形に戻してみます。どちらが良いかしら。)
下水処理場に集まる水の中にはいろいろな形のリン成分がある。下水処理後の水にリン酸として溶けているリンを回収するシステムを、旭化成ケミカルズ日本下水道事業団が開発した。その方法は、新しく開発した微細な穴が無数にある吸着剤を使うやり方だ。吸着剤はセラミックスと樹脂からできていて、直径は約0.6ミリメートル。水中に含まれるリン酸を選択的に吸着する。これによって回収したリン酸にカルシウムを加えると、リン酸カルシウムとして分離できる。分離後はこの吸着剤は繰り返し使用することができるとのこと。
問題はどの程度回収できるかだが、リンの含有率は16%で、高品位の天然リン鉱石と同じで、カドミウムや水銀、鉛などの不純物の量は基準値を十分下回るという結果が示されている。これまでの回収技術では、リンの含有率は高くても10〜15%止まりで、不純物もあるためにそのまま肥料などに使えなかったそうだ。下水処理水に含まれるリン濃度は全体で1リットルあたり0.1〜3.2ミリグラム。そのうち回収しやすく有用なリン酸として含まれるリンは1リットルあたり0.05〜3ミリグラムだそうだ。吸着剤でリンを除去した後の水にリン酸として含まれるリン濃度は1リットルあたり0.01ミリグラム以下になっていて、99%回収されており、リン全体では95%以上回収できていた。
リン成分を除去しないで河川に放流すると、栄養成分のリンが過剰になって微生物が繁殖して水汚染の原因となる。必ず処理しなければならないものの、回収したリン成分の利用が必ずしもうまくいっていないのが現状だとよく聞く。リンは肥料として不可欠なものであるため、このような形で肥料に循環使用できるとすれば、全量を輸入に頼るリンを国産できることになる。前にも書いたことがあるが、リンの輸出国が輸出制限も始めているなどが原因で価格も高騰しているから、環境対応から有価物を作ることができるのは素晴らしいことだ。
鶏の糞にはリン成分が多いらしい。糞を堆肥にすることができれば最もよいのではあるが、量が多すぎて廃棄物として処理するときの水にリンが入ることが問題になるとも聞いている。もしこの処理にこのシステムが適用できるのならば、養鶏事業にとっても朗報かもしれない。