効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

中国に大規模風力発電

九州電力は、中国の電力会社と共同で、内モンゴル自治区に総出力20万キロワットと、中国最大級の風力発電設備を建設することになっています。2010年に稼働する予定で、九州電力が中国で風力発電事業を手がけるのは2件目となります。
ドイツのエネルギー大手エーオン(E-ON)とドイツの電気機器メーカーであるシーメンスが共同で500基の風力発電システムを設置することで合意したという発表も、九電が発表したのと同じ日に出されています。発電規模は合計で115万キロワットということです。このシステムは、2010年から11年にかけて建設されます。
両事業とも風力発電事業として収益性、将来性が見込まれるから進出しているのですが、これだけの規模の設備がたった2〜3年で完成することに驚かされます。一基の風力発電の規模も最近では2千キロワットを越えて、5千キロワットも登場しているらしいですが、風がよく吹くところに集中して沢山並べて建設するはずです。火力発電設備を考えると、20万キロワット規模だとおそらく設計から完成稼働まで7〜8年はかかるでしょう。ところが風力発電の場合、標準的な設備を並べるだけですから長い工期は必要ないのだということが分かります。
しかし、中国の送配電系統が日本と同じ程度に整備されているとは思えません。特に内モンゴルなどと言うと、まだ電気が来ていない地域も多いのですから、そこに20万キロワットが出現して、しかも風任せに発電するとすれば、その変動に対応するだけの補完をする火力発電所が必要なはずです。少なくともいままで日本の電力業界が主張してきたところによればそうなるはずです。しかし、そのような気配はありませんので、既存の設備の範囲で系統運用をすることができるのでしょう。勿論中国の系統を流れる電力の品質が日本に比べると周波数や電圧の変動が劣ると言うことはあるでしょうが、少なくとも電力の供給安定性が一定の範囲内で保たれるのです。
欧米であれば、系統網が重厚なのでこれだけの風力発電が入っても良いかもしれませんが、中国の系統は貧弱であると推察できますから、どのような安定策を講じているのでしょうか。高価な蓄電池などは使わないでしょうし、揚水発電所をつくるのも工期的に間に合いません。中国の発電所には石炭火力が圧倒的に多いですから、ガスタービンのように変動に対応するのも簡単ではないと思います。せっかく風が吹いているのを発電しないで切り離すようなことはしないでしょうし。どのように上のような規模の風力発電設備が系統に接続されるのか、情報が欲しいなと思います。日本に風力発電がさらに導入されるのに必要な系統制御情報が入ってくるでしょう。誰に聞けばいいのでしょうか。