効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

圧縮空気で動く自動車

圧縮空気を原動力にして動く自動車が発表されています。プラグインハイブリッドや電気自動車の話しが盛んな中に、面白い物が出たものだと思います。3月にキューヨークで開催された自動車ショーで発表されたようですが、フランスのニース市に本社を置くMDI社が開発し、インドのタタ自動車が開発に協力しているのです。
主力モデルの排気量は800ccで、90立方メートルのタンクに詰め込まれた圧縮空気で4気筒エンジンのピストンを動かすようになっていると紹介されています。車体は小型で重さは320キロで軽自動車クラス。空気を満タンにすると最大100キロメートル走れます。これには空気圧縮設備が必要で、圧縮に要する電力はどの位になるでしょうか。この報道記事では上記のように90立方メートルのタンクとあるのですが、おそらく90立方メートルのガスを圧縮して、車体の一部に納まる大きさの小型圧力タンクに押し込むということでしょう。90立方メートルというと小型自動車が中に入ってしまいます。あるいは90リットルのタンクの間違いかもしれません。この紹介記事には書かれていないのですが、圧縮空気の圧力が最大どの位かが課題となります。どこまで耐圧をもたせるかということで、走行距離に差がでます。
圧縮空気を使って発電するという方式で実用化されようとしているものもあります。電力が余剰となる深夜に、一度発電で流れた水をその余剰電力を使ってダムにポンプアップして貯めておき、需要が大きくなる昼に再度発電に使うという揚水発電は各所で現実に使われていますが、地下の空洞に空気タンクを使ってポンプで押し込めば、昼にその圧力でタービンを回して発電することはできます。この方式は、風が夜に強く吹いて風力発電からの電力が余りそうになったときに、その電力を使って地下の空洞に空気を押し込んで、昼間に放出することによって、風力発電の不安定な稼働という欠点を補おうという考えもあります。ポンプで押し込むときと、再度発電するときの両者でエネルギーロスがおきますから、それを勘案しなければなりません。その上で蓄電池を使って同じようなピークシフトを行うのと比較して経済性があれば、圧縮空気の利用は普及するかもしれません。問題は風力発電所の近くの地下に適切な空洞があるかどうかです。