今日の日経新聞に一面広告を東芝が出している。内容は、地球環境のために、東芝は一般白熱電球の製造を中止します、というものだ。そこで案内しているのは、前にもここで書いたことがあるが、東芝は2010年を目途に、年間約4000万個製造している一般白熱電球の製造を中止して、消費電力が白熱電球の約5分の一である電球型蛍光ランプや同じく約7分の一のLEDランプに置き換えることに注力するということだ。そして、この取り組みにより、2010年度には現在に比べて年間約50万トンものCO2削減に貢献できるものと推定し、豊かな未来のために、東芝は新しいあかりで、環境に調和した生活を実現していきます、と書いてある。
一般消費者はこれを見て買いだめに走るだろうか。価格差はあるものの、そのような雰囲気は日本社会にはないだろう。日本での蛍光灯普及率は欧米に比べて高い。夜電車の窓から集合住宅を見ると、ほとんどの窓から見える光は蛍光灯だと明らかに分かるものだ。欧米ではほとんどが黄色系統の光で、白熱電球がまだ多く使われている。しかも、日本でよく使われるサークル型のものが今などに使われることはまずないから、欧米では電球型蛍光灯で白熱電球色のものを普及させようと躍起になっている。その波が日本にも及んできたことがこの広告でよく分かる。
問題は、販促策が政策的な裏づけなしに行われるということだ。炭酸ガス排出抑制には待ったなしだとすると、この電球型蛍光ランプを購入した人には、一種のミニグリーン証書を渡して、それを売買できる市場を準備するなどといったことができないだろうか。このランプを買えば電気代が安くなって、炭酸ガス排出抑制に貢献できますよという消費者意識に訴えるだけではなく、何か公的な促進策が考えられてしかるべきだと思う。これは電球だけでなく、効率の高い冷蔵庫やエアコンの買い替えの時にも適用できるはずだ。米国の各州で実行されているのがこのような方策だから、日本でもできないことはない。市民意識の改革効果も期待できるはずだ。