効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

天然ガスを巡る韓国とロシアの動き

最近得た情報によると、ロシアのガスプロム(巨大ガス事業)と韓国の国営天然ガス事業コリアガスが、今月末に期限が来る協力契約をさらに5年、2013年まで延長することに合意したそうだ。ガスプロムは、いままで外国の石油会社や日本の商社などによって進められてきた極東ロシアの天然ガス開発に、プーチンの指示で政治的な力で割り込み、ロシアの国益に沿って動けるようにした。コリアガスは、韓国国内にはない天然ガスLNGとして輸入する事業を一手に率い、電力事業や地域のガス事業にLNGをガス化した天然ガスを卸供給している。
この両社が当初結んでいたガス協力協定は、ロシアから韓国へ天然ガスを輸入するに関するフィージビリティー・スタディーを行い、そのための資金調達をどうするかを見当するためのものだった。またこれにはガス田の開発も内容に入っているようだ。この協定の延長によって、韓国が極東ロシアにLNG基地を建設することが可能になったかもしれない。そうなれば、韓国の造船業界はLNG船の建設事業に参入できるし、石油化学事業での協力も可能になるかもしれない。コリアガスは2005年にサハリン2開発プロジェクトから年150万トンのLNGを輸入する契約を結んでいる。輸入は2009年の初め頃から開始されることになっている。
また、韓国は極東ロシアからパイプラインで天然ガスを持ち込むことを考えているようだ。しかし、両国間の協定はあるものの、この計画がいつ実現するかは見通しが立ってはいない。パイプラインということになると、中国と北朝鮮を通すのか、それとも海底パイプラインになるのか、どちらにしても極めて難しい国際問題となるだろう。資金調達も大きな課題がある。
しかし、このような動きは日本のLNG輸入の将来に極めて大きな影響を与えることになるだろう。コリアガスは、一社としては世界最大のLNG輸入事業者だからだ。ロシアの韓国に対する思惑によって、日本への割当量も不確かになるだろう。サハリン2プロジェクトは、当初シェル、三井物産三菱商事で開発が行われたが、いまでは株式の過半をガスプロムが持っている。天然ガス化石燃料だが燃焼時に出る炭酸ガスの排出が石油や石炭に比べて少ないために将来奪い合いになる可能性がある。そのようなエネルギー市場の展開をうまく利用して、ロシアが国際的な支配力を急速に高めるだろう。天然ガスの供給を通じてアジアとヨーロッパの両方を手玉に取るかもしれない。