配達された夕刊を読んでいたら、南極観測船「しらせ」が最後の任務を終えて帰港したという記事が目に入った。25年にわたって南極観測を支えてきたのだが、その前に「宗谷」、「ふじ」があって、三代目になる。1983年から25回にわたって約1400人の観測隊員を運んだとある。この記事から、観測自体も終わるのかなと早とちりするところだった。次の観測船がいま建造中で2009年に竣工するそうで、船名も同じ「しらせ」だとWikipediaに出ている。そういう意味ではこの記事は不完全だ。
最初の観測船「宗谷」は1956年に出発したのだから、いままで50年を超える観測をしてきたという事実に頭が下がる。1958年には結氷のため犬を残して基地を去り、当初の計画で考えていた救出ができなかった。この残された犬の内2頭が生き延びて、次に訪れた観測隊員を出迎えた事実は映画にもなった。そんなに昔の話しだったかという感じがするほど印象深いことだった。
南極にある日本の昭和基地が観測したデータは、地球温暖化を検証するのにも極めて重要なものが多いといわれる。前にも書いたが、厚い氷をボーリングして、太古の時代からの大気中炭酸ガス量の変化を見ることのできる氷柱を持ち帰ってもいる。オーロラの観測でも新しい発見をしたと記憶している。いま北極の氷が夏には溶けてなくなることが確実になっている今、大陸の上にある南極の氷がこれからどう変化していくか、他の国の観測隊とも協力して、長期的気候変動の予測を確実なものにしてほしいと思う。結果が人類にとって絶望的なものとなる可能性もないではないが、それは現実として受け止めて、どのように対応するか次善の策を生み出さなくてはならないだろう。
昭和基地にはアマチュア無線局が設置されている。自分もハムの一人なので、何とか交信したいと思ったものだったが、実現しなかった。それも刺激になってモールス信号を覚えて2級の資格試験をパスし、出力を大きくすることができたのだったが、仕事が忙しくなったこともあって休眠してしまった。まだコールサインは保持しているので、今年中にはアンテナを立てて再開したいなと思っている。