効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ガスパイプライン

静岡ガス中部ガスが共同で天然ガスパイプラインを建設するそうだ。静岡県内に静岡から浜松までの総延長113キロメートルのガス管を敷設するというのだから、かなり大規模なパイプラインとなる。総投資額が両社で350億円と見込まれ、2012年に完成するという。これによって、静岡ガス中部ガス天然ガスを供給することが可能となる。
静岡ガスの昨年度売上額が927億円、中部ガスは315億円だから、大きな投資額であることは確かだ。しかし、今後中部地域で天然ガスへの需要が増大するのに備えて、両社で共同してLNGの輸入もできることになって、供給の安定性を高め、また、コストダウンに向けたプロジェクトを行うオプションも広がるだろうと思う。
この記事は日経に出たのだが、「完成後は北関東から兵庫まで各ガス会社のパイプライン網が直結。災害時にガスを融通しあうなど、東西で機動的な調達が可能となる」という部分について、あれっと思った。大阪ガスのパイプラインは名古屋の東邦ガスのラインと結ばれてはいないはずだから、少なくとも兵庫までは無理だし、静岡ガス東京ガスから供給をパイプラインで受けるというのもまだ不可能なはずだ。この記事内容は間違いではないか。両ガス会社のプレス発表には、このような内容は一切入っていない。間違い記事だ。
もともと日本の都市ガス事業が昔から抱えている課題が、日本にある230以上のガス会社同士がパイプで結ばれているケースが非常に少ないということなのだ。それぞれ独立しているために、小規模な事業でガスの受け入れが一カ所だけで行われている場合に、万一そこでトラブルがあれば、他社が応援することはできないのだ。電力会社は容量に問題はあるとはいえ、相互に電気を融通することができるのだが、東京ガス大阪ガス東邦ガスといった大手のガス会社のパイプラインは相互に接続されていない。これが接続されていれば、LNG基地の操業の合理化などもっと進むだろうし、環境負荷化石燃料の中では小さい天然ガスの普及策にももっと柔軟な対応ができるはずだ。しかし、都市ガスはその名の通り、人口密度が高いところでないと収益を上げられないために、密度の低い各社の間にパイプラインは敷設されなかったのだ。
欧米のパイプラインは全国をカバーしている。欧州ではロシアのガスが英国まで届くのだから、善し悪しは別にして各国が相互に影響し合う天然ガスネットワークが構築されている。それから見ると、日本の都市ガス事業も頑張らないといけないし、環境面やエネルギー安全保障の意味からも、天然ガス幹線をもっと拡充しなければならないと思う。そのコストを誰が払うかが課題ではあるが、分散型発電の拡充計画とリンクさせれば、電力とガスの相互乗り入れで何とかできないかなと思う。