効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

天然ガスを高圧で地下貯蔵

都市ガス業界が中心になって、天然ガスを地下の穴の中に高圧で貯蔵する技術を開発したと発表している。日本の天然ガスは、新潟に僅かの量を算出するのみで、ほぼ全量が海外から液化天然ガスLNG)として輸入されている。パイプラインでロシアから輸入する計画もあったが、その敷設投資額が大きすぎて採算に合わない可能性もあるとして、ロシアからもLNGとして輸入されるようになるだろう。
輸入されたLNGは巨大な魔法瓶のようなLNGタンクに保存されるが、消費量の数日分しか貯蔵できない。液体となった天然ガスは、元の気体の273分の一の体積になっているのだが、送り出すときには高圧の気体となり、順次圧力を落として消費者のところに届けられる。その間に気体の形で貯蔵するタンクはあるが、そこまで送られてきたガス圧で貯蔵されているのが普通だ。
これを加圧するにはタンクを高圧に耐えるようにしなければならないが、その耐圧構造の一部に地殻を使おうというのが新しいアイデアだ。炭坑跡とか採石場の跡とか、地下にある穴は各地にあるし、新たに掘ることもできるだろう。穴の壁に沿って耐圧壁を作ってガスを圧入すれば大量に保存することができる。地殻自体が圧力に対抗してくれる。日本には本島を貫く高圧天然ガスパイプラインが欧米のように敷設されていないために、大都会から遠いところにガスを普及させるのが難しい。もしこの技術が地方で活かされれば、環境負荷が小さい天然ガスを普及させることができるし、安全保障の意味で備蓄することも可能になる。地上タンクの20倍の量を貯蔵できるそうだから。
というのは少々楽観的かもしれない。これはガスが漏れないということを、設備を作る地域の周辺住民に納得して貰わなければならない。ガスはそれ自体で爆発することはない。空気と混じらなければ燃えないからだ。ただ、これもどの程度理解して貰えるか。また、漏れたときに検知したとしても、地表までガスが通る道筋を予め予測することは難しい。いわゆるパブリック・アクセプタンスを確実にするために何をすればこの技術が社会に受け入れられるか、難しい問題を含んでいるように思う。一方ではエネルギー安全保障がある。他方では住民の安全保障がある。その中間に納得性の課題が横たわっているだろう。