効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

家の断熱強化への税制特典

住宅のエネルギー効率を高める改修と、200年は長持ちする住宅の建設を促進するために、融資額残額の2%を5年間税額控除する制度が始まるらしい。資源の有効利用という意味で望ましいことだが、本当に実効があるのかは疑問符がつく。
日本の世帯当たりエネルギー消費量は、欧米先進国の消費量と比べると格段に低い。特に、人口密度が高い東京や名古屋、大阪といったところでは、暖房需要が少ないし、給湯のためのエネルギー消費も少ない。日本でセントラルヒーティングというのは、一台の暖房機器で暖房を行うという意味であって、家全体を暖めるという意味ではないのがほとんどだ。部屋単位で暖冷房し、人がいなければスイッチを切るのが普通だからだ。欧米の北の地域では、どれほど断熱をしていても、暖房を切ると配管が凍るし、部屋の温度は命に関わるほど下がることもある。だから世帯当たりの空調エネルギーは大きくならざるを得ない。だからこそ断熱構造で削減できるエネルギー量は大きくなる。
しかし、日本では、世帯当たりエネルギーの消費量そのものが低いので、断熱構造を取り入れることによって削減できるエネルギーの絶対量は欧米に比べるとかなり低いものとなる。だから、効率が高くなってもその効果をエネルギー量で見ると小さくなってしまう。やらないよりもましだという程度かも知れない。ただ、快適さは増加するので、断熱を高めた家に住む人の満足度は高まるから、その面から改修をする需要は増えるだろう。
長持ちする家については、この家が中古住宅として販売されるときにそれなりの評価がされるかどうかが心配だ。その評価価格次第では、長持ちするはずの住宅が、取り壊して新築する方が安いことになる可能性もある。住宅に手入れをよくしてもしなくても、住宅自体の価格評価はあまり変わらないのが日本の中古市場だから、中古住宅の評価制度自体もよく吟味しておかないと、長持ち住宅の価値が生かされないことになるかもしれない。
とはいえ、このような促進策が始まったこと自体は評価したい。