効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

太陽電池の高効率化

三菱商事と岡本硝子が共同で、太陽光発電システムの集光装置開発に着手したと今日の日経新聞が報じている。この装置は太陽電池に入射する光の密度を高めるための特殊な反射鏡やレンズで、効率的な発電を可能にするものだ。
地表面に届く太陽エネルギーの大きさは、1平方メートルあたり1キロワット位であって密度が低い。いま住居などに取り付けられている太陽電池は、光のエネルギーを電気に変換する効率が10〜20パーセント程度で大きくはないから、家庭用の標準である3キロワットのものでも屋根一杯に敷き詰めないと所定の発電能力は発揮できない。また、太陽電池パネルが真南に向いていなければ、太陽エネルギーを十分に取り入れることはできないし、季節によって太陽の高さの傾きも異なるので、屋根の傾きによっては、十分な性能を発揮できないこともある。
太陽電池パネルが常に太陽に直面するように自動的に修正したり、朝、昼、夕方で傾きを手動で動かすシステムなどが試みられ、効率がかなり上がることは確認されているが、コストもかかるので傾きや方向は固定しているのが一般的だ。今回発表された装置は、集光倍率を500倍前後にして、発電効率を40%程度高めるもので、2008年夏をめどに製品化する計画だという。現在の発電効率を40パーセント高めるとあるが、それだと1.4倍。複雑な装置を使うにしてはちょっと小さい感じもしないではない。
小学生時代に太陽の光をレンズで集めて、親父が大事にしていた写真フィルムを燃やしてしまい大目玉を食らったことがあるのを思い出した。集光して太陽電池にあてると当然表面温度が上がって、電池が駄目にならないまでも変換効率は落ちるはずだ。赤外線フィルターや放熱機構をかませるか何かで温度上昇を抑えるのだろう。反射鏡とレンズの組み合わせユニットが太陽の光を集めてエネルギー密度を上げてやり、常に同じ太陽電池セル表面へ直角に当たるように動かすことができれば、ユニット当たりの発電量が上がることは確かだ。その可動機構がどのようなものか興味をそそられる。そのコスト上昇が、ユニット当たりの発電量向上によってセルの枚数を少なくできることによるコスト削減とうまく釣り合えば、商品となるだろう。ただ、可動部分が入ることは故障の可能性が増えてくる。そのバランスがうまくとれるだろうか。
朝と夕方の太陽からのエネルギーは、厚い空気層を通ってくるので小さくなる。太陽が真南にあるときにエネルギーは最大になるが、集光面の温度上昇も大きい。このような変化にもうまく対応するシステムがどのようなものか、コストも合わせて知りたいものだ。