効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

地球温暖化感度の鋭敏化

やっと秋が近くなったという感じになってきたが、まだ今日は蒸し暑くて過ごしやすくなったという感じではない。5年前ならば、今年のような異常な暑さ、台風の直撃とその被害などを経験しても、単にその記録的な結果に驚くだけであったと思う。ところが今年は、同じ現象に対してこれは地球温暖化の影響かも知れないと考える人の数は急速に大きくなったのではないか。冷静に考えると、今年の気象現象の異常さが地球温暖化の結果だということを科学的に証明することはまず不可能だろう。しかし、地球温暖化の結果ではないと言えないことも確かである。ただ、連日のように地球温暖化に関連したメディア情報が流されていると、身近な気象の変化をそれに結びつけて考えるのは、一種の反射的思考になっていると思う。一般市民が持つ地球温暖化に対する感度が非常に鋭敏化したことに間違いはないだろう。
一方、日本にとって、エネルギーを効率的に使うということは、安全保障にも関わる重要な課題である。国の安全保障の観点から省エネルギーに努めようと言われても、一般市民にとってはかなり迂遠なことで、自ら進んで省エネルギー策を実行しようとは思わないだろう。しかし、1980年代に起きた石油の供給途絶の可能性を身近に実感したことによって、日本全体のエネルギー効率は急速に上がった。中東石油への依存度が低かった欧米先進諸国ではそのような効率化の動きはほとんどなかった。人、企業、それぞれが、自分に降りかかる問題として受け止めたときに、その問題防止の方向に動くのに抵抗しなくなるのだと思う。
米国を大きなハリケーンが襲って甚大な被害を起こしたが、これが地球温暖化の結果だとは証明できないものの、その可能性があると思い出した人や企業が急速に増えた。米国政府は依然として地球温暖化炭酸ガス排出の増大が原因ではないという見解を変えていないが、州政府レベル・企業レベルでは、炭酸ガス排出抑制策を具体的に推進しようとする動きが強くなっている。そうしないと一般市民からの支持がなくなる可能性があるからだろう。これも米国市民の地球温暖化への感度が鋭敏化し、自分にも何かの被害が及ぶかも知れないと思うようになったからだ。そう思うに至った原因が、必ずしも温暖化によるものと言えないものであっても、その思考過程に抵抗がなくなっているのに違いない。
こうなると、市民レベルの政治意識が高い米国の方が、地球温暖化防止に向けた施策を具体的に実行する力は日本より大きいかも知れない。国民一人あたりのエネルギー消費量が世界で一番大きい米国だから、炭酸ガス排出量削減の量的結果は日本より大きな実績として示されるかも知れない。