効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

急拡大する風力発電、そして日本は

米国で風力発電の事業が雨後の竹の子のように出ていて、そのために風車の供給が間に合わなくなっているようだ。風車価格も目に見えて高くなっている。日本では三菱重工が大型の風車を製造しているが、いままで利益を出すのが難しかったのが、大きな収益源に育つ可能性もあると聞いた。
しかし、日本の風力発電市場は一向に勢いを見せる気配がない。基本的に電力事業が風力発電を邪魔者扱いしていて、政府も促進的な政策を十分に整えるつもりがないからではあるが、陸上に風が一定以上常時吹いているところが少ないという地理的条件もある。本来風が強いところには人が住んでいないのが普通だから、大都市圏の近くに風力発電に適したところが少ない。電力需要が多い関東、関西には風力発電の適地が少ない。また、風が強いところが山岳地帯に多いため、欧米のように平地で吹く風を掴まえる風車が必ずしも適していないということもある。今後長期的には関東、関西にも風力発電を増やしたいのではあるが、陸上に適地が少ないとなれば、日本にはふんだんにある海岸線の沖合に設置できないかという話になる。ところが日本の沿岸地域は浅瀬が少なく、海底地盤に直接建てる風車の適地が少ないという。その解決策として、東京電力東京大学が、洋上にある浮体の上に風力発電設備を置く「フロート式洋上風力発電」の実用化研究を加速しているらしい。洋上の風況の良さを2年間実測で確認し、これから設備の経済性や耐久性を立証する段階に移っているそうだ。ぜひ実用化に成功してほしいものだ。ところが、洋上ということになるとすぐに漁業権との関わりが出て、その補償という話になる。できれば漁業権者も発電事業に参加することによって共栄できるようなビジネスモデルを考案して、日本独自の洋上風力発電技術を実用化・定着させてほしいと願っている。東京電力東京大学の研究の写真を洋上風力発電フォーラムのウエブから拝借した。