効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

韓国の溶融炭酸塩型燃料電池事業

世界で唯一溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)を商品化しているFuel Cell Energyからプレス発表が入ってきた。韓国最大の製鉄業であるPOSCOの関係会社POSCONに、300キロワットMCFCの電池スタックその他の構成部品を今秋輸出することになったということだ。システムエンジニアリングと電子機器メーカーであるPOSCONはこれを韓国で組み立てて、アジアで最初のMCFC生産拠点となる。Fuel Cell EnergyからPOSCONに向けた輸出は、これを入れると今年度7,800キロワット(300kW 16基相当)になるとのこと。
いままで、Fuel Cell EnergyはPOSCONに完成品を輸出していた。しかし、POSCONは2008年末までに5万キロワット相当の製造ラインをつくり、2010年までにそれを10万キロワットにまで増強する計画だという。韓国が炭酸ガス排出削減に向けて真剣な取り組みを始め、制度的な促進策を次々に打ち出している状況に合わせた意欲的な取り組みだと言えよう。このプレス発表によれば、韓国は燃料電池に対して、風力、バイオマス、水力以上の補助策を講じていて、その規模は太陽電池に対するものに及ばないだけだという。将来POSCONは、MCFCの中核部分であるセルスタック以外の部分について自社生産することになるだろうが、韓国だけでなく中国をはじめとしたアジア市場に向けた販売を計画しているに違いない。
Fuel Cell Energyは、溶融炭酸塩型だけでなく固体酸化物電解質型の燃料電池技術も開発し商品化も遠くないという。膨大なアジア市場に向けて、日本の燃料電池メーカーも発奮しないと韓国に遅れをとることにならないか、心配だ。