効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

バイオエタノールのマイナス要因

つい最近NHKテレビで見たのだが、東南アジアでバイオエタノールの原料となるパームオイルの生産を拡大するために熱帯雨林が切り倒されたり、ゴム栽培用の土地を油椰子栽培用にするために買い取り、そこの住民が追い出されているなどと報じられていた。
油椰子の栽培を増やすためにだけではないが、東南アジアで熱帯雨林が急速に消失しつつあることは、その地域の気候環境を大きく変えるだけでなく、動植物の生存条件にも大きな影響を与えることは確実だ。熱帯雨林はいままで営々と大気から炭酸ガスを取り入れて樹幹として固定してきた。それを栽培植物を植える土地にするために切り倒して燃やしてしまえば、炭酸ガスは大気中に放散される。そこに新たに植えられる植物も炭酸ガスを吸収するとはいえ、熱帯雨林ほどの吸収力はないと聞く。これからの地球温暖化に与える影響は大きいだろう。
しかも、パームオイル生産についてはさらに問題がある。バイオエタノールの原料として需要が高まっているために価格も上昇し生産が増えているが、生産に伴って油を絞った後に残る椰子がらや、油を精製した後に残る廃液がほとんど未処理のまま放置され、廃液は川や海にそのまま放流できないために一時的にため池に滞留させて分解させる。その分解の過程で発生するのが、炭酸ガスの21倍もの温暖化効果を持つメタンである。廃棄物処理に必要な設備へ投資をすることは、パームオイル生産コストを上げることになるから、ほとんどなされていない。搾りかすを炭化したりする事業が最近報道されていた。また、このパーム廃液から出るメタンガスを捕捉してエネルギー源にすることが南米でCDMとして最近認定されたようである。しかし、東南アジアではまだその動きは見られない。
バイオエタノールで自動車を走らせることによってガソリンを代替することで炭酸ガス排出を抑制しても、それ以上に炭酸ガス排出が増えてしまうという結果になるのではないか。食糧圧迫が言われる以外に、広い範囲でマイナス効果が出てくることを心配する。