効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

エネルギーの地産地消

昨日自前のエネルギーについて語り、その対象を公共建物や警察、消防、IT企業など、いまでもエネルギーセキュリティーが重要課題であるところについて太陽光発電と蓄電池の必要性を考えた。今日はそのシステムが普通の個人住宅や中小企業にも必要になりつつあるし、手が届かないものでもないと思っている。それは2に前にちょっと触れたエネルギーの地産地消に通じるものだ。
いま、全国各地の自治体でバイオマスタウン構想が策定されている。ただ、新エネルギービジョン策定に若干関わった自分の経験から言っても、その殆どは絵に描いた餅に終わるだろう。しかし、それであっても良いのかも知れない。バイオマスは、地域の特徴を反映するために、利用の仕方は別にして、どれだけバイオマス資源があるかについて、あまり大嘘はつけないからだ。
バイオマスをエネルギーに変える場合、もっとも望ましいのは発電に使うことではあるが、効率的に燃焼させて高温を作って冷暖房に使うこともできる。ただ、バイオマスをエネルギー源にして利用しようとすると、エネルギー需要に合わせた量のバイオマスの確保をすることが不可欠になる。恒常的な確保ができることがバイオマスタウン構想で確認されれば、その地域で環境負荷をあげないエネルギーの生産ができる基礎が存在することになる。それを電気や熱に変換した場合、その地域の総エネルギー消費のうちどのくらいを占めることになるかを見て、それが意味のある数字として出るならば、それを地域住民に認識して貰うことが、エネルギーの地産地消への第一歩となるだろう。
バイオマス以外に地域に存在するエネルギー源としてもっとも普遍的なのは太陽光発電と太陽熱である。太陽は天候に左右されるとはいえ、日中には必ず存在する。また、たとえば富山のように豊富な水流があるところでは、小水力発電も組み込める。これらはバイオマスと組み合わせれば、信頼できる地域エネルギーシステムになるはずだ。
このようなエネルギー源を組み合わせるシステムを描くことは比較的簡単にできる。しかし、問題はそれをどのように具体化していくかである。その鍵は、地域特産のエネルギーシステムの設置をする人なり企業が、少なくとも損をしない、できれば長期的に持続可能な収益を生み出せる制度を整備するということだ。今までは、ハード設備への補助金という形で行われてきたが、これからはそれに加えて国レベル地域レベル両方で、地域で生まれたエネルギーを利用する人や企業がエネルギーを高く買い、そのコストをたとえば税控除のような形で優遇する方式と組み合わせるなどして、エネルギーの生産者と利用者の双方が利益を得る、あるいは少なくとも損をしないソフト的仕組みを創造しなければならないだろう。また、エネルギーの地産地消は地球の環境負荷を下げる有力な方策でもあるのだから、地産地消エネルギー総量に応じた何かの利得が得られる施策も作れないだろうか。
やはり抽象論になってしまうが、地域で作ったエネルギーを地域が積極的に使おうとするようにし向けることができなければ、いつまでも絵に描いた餅になってしまう。エネルギーを農産物のように品質で差別化できるような方策はないだろうか。電気で言えば直流にすることで今までと違った使い方ができるようにならないだろうか。温泉を太陽熱で加熱して違った効用が生まれないだろうか。
太陽光発電と大容量蓄電池の組み合わせは、地域エネルギーとしてどこでも確保できるものである。そして、太陽光発電はいたる所で見ることができるほどのものとなっている。これに蓄電池をつけることによって、災害時にエネルギーが停まらない場所として優遇措置を講ずれば、技術的には系統が停まっても稼働できるようにできる。個人住宅や中小企業の向上や事務所で、太陽光発電・蓄電池システムを設置し、その上にバイオエネルギーシステムを動くように設計すれば、エネルギーの地産地消が具体化できるのではないか。寒い地域であれば薪ストーブや木質ペレットストーブ、畜産地域であればメタンガス発電やガスボイラーが使える。蓄電池は家庭用ならば鉛蓄電池でも十分間に合うと思うのだが。