効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

日本の太陽電池市場の拡大は世界に遅れをとる

少し前まで太陽電池の総設置容量で日本は世界一だった。しかし、ドイツが太陽光発電促進のために、通常の電力価格より高い値段で再生可能エネルギーによる発電電力を電力会社に買い取ることを義務づけする(フィードイン・タリフ:固定価格買取制度)一方、日本では家庭用向けの補助額が年々引き下げられ、2年前から消えてしまったという制度上のマイナス要因が影響して、現在はドイツが太陽電池の総設置容量が世界一になっている。そして、米国では2005年エネルギー法で再生可能エネルギーへの様々な優遇策が打ち出されたために、太陽電池市場が急拡大しようとしている。さらに中国も固定価格買取制度を実施し始めたために、市場の伸びは急速に高まると予想される。報道によると、調査会社の資源総合システムは、世界の太陽電池生産量(発電量換算)の伸び率は、2005年、06年とも40%を超えたとしている。
このような状況をビジネス機会と捉えた新規太陽電池メーカーがインド、台湾、欧州など世界中に生まれ始めている。いままで、シャープ、京セラといった日本のメーカーが世界の市場を圧倒していたが、うかうかすると世界市場でのシェアをどんどん落とすことになるかもしれない。日本では導入初期に、国の補助金に加えて、電力会社が顧客の自家使用する以上に発電した電力を販売電力価格と同じ値段で買い取る施策をボランタリーに実施したために、太陽電池の設置は急速に伸びたのだが、設置した人が収益を得るまでには至らないものだった。地球環境改善に貢献しようとする意識がある人が、多少の損には目をつぶって設置しているのが現状だ。ところが、固定価格買取制度がある国では、設置した人は得をするように買取価格を設定してあるから、爆発的に市場が拡大することが予想される。
米国の再生可能エネルギー研究所から届いたメールによれば、同研究所とボーイング・スペクトルラボの協力で、変換効率が40%を示す技術を開発し、R&D Magazineから2007年の優秀技術として表彰をうけたそうだ。日本の太陽電池メーカーの技術もこれに劣らず優れているはずだが、日本のメーカーの技術が優れていても日本で市場が大きくなるものでもない。設置すれば必ず炭酸ガス排出削減に効果を出す太陽電池の設置数を増やすことが緊急の課題だと思うが、そのための制度的準備ができなければ、世界の市場拡大テンポに大きく遅れをとることになる。設置した人が得をする制度を早く導入してほしいものだ。京都議定書の目標値に近づける一つの有効な手段なのだから。