効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

家に来てくれる八百屋さん

もう30年以上になるだろうか、週に2回トラックに野菜やお肉などの食材を満載した八百屋さんが来てくれる。最初の頃はそれほどスーパーマーケットが多くはなかったし、車でショッピングに行く人も少なかったので、ご近所の皆さんがほとんどこの八百屋さんから数日分の食材を買い求めていた。ところが今では、自宅のある道路筋の20軒でこの八百屋さんを利用しているのは我が家だけになってしまった。この八百屋さんとは買い物がてらいろいろ話をすることもあるので、お互いの家族情報もよく交換する。梅漬けを作る頃になると、適量を見つくろって梅と焼酎、紫蘇の葉を持ってきてくれるし、珍しい材料の場合には料理法なども教えてくれる。だから親しい仲間になっているということもあるし、連れ合いが車を運転できないためもあって、ずっとここから買うことにしている。ここで調達できなかったものをスーパーマーケットで買うという手順になる。
しかし、並び筋のお客が離れてしまった理由も分からないではない。野菜が雨続きなどで収穫量が減って値段がむちゃくちゃに上がったりすると、この八百屋さんは持ってこない。こんな高いものをお客さんに買って貰うのは気の毒だというのだ。また、夏など早く野菜がしおれてしまう季節には、スーパーのように特別の温度管理をしているわけではないので、商品価値が早くなくなるために始めからもってこない。ということはメニューを考えても買いたい材料が必ずあるという保証がないことになる。しかも定番商品しかないから、スーパーのように特売品を買ったり、珍しいものを時に見つけたりする楽しみも少ない。
しかし、 この八百屋さんの持ってくるものに合わせてメニューを考える気になれば、それほど不便であるわけではない。昔の八百屋さんはそうだった。今日はこれが美味しいよ、とか、ちょっと熟し方がわるいので勧めないよ、とかの対話も商品の一つだった。時には売れ残りをただでくれたりすることもある。何でもそろうショッピングセンターにないのがこの温かみだろう。そして、季節を問わず季節商品が手に入るのが当たり前になっていることがおかしいと誰も思わなくなっている。便利さを優先することによって我々は何か大切なものを失ってしまったのではないだろうか。